2012-01-01から1年間の記事一覧
ドビュッシー『牧神の午後』は自分自身も踊ったベジャール振付による作品であるが、ニューヨークにいた時分(まだ小学生だった)にニジンスキーの写真を見たことが自分にとってその後関心を持ち続ける発端となった。 この写真は、身体をねじり、線をずらすこ…
まだまだ夏の暑熱が頑固に続くこの日、多くのジャズアーティストを迎え、今年で11回目を迎える国内最大級のこのジャズフェスティバル(9月7日(金)~9日(日))が開催された。 まずはピアニストの小曽根真とエリス・マルサリス、そしてベースのクリスチャ…
アルバートの父テッドはかつて従軍したボーア戦争で大きなけがを負い、今はイギリスの荒れた土地で小作を営んでいる。与えられたこの石ころだらけの土地を耕すためには頑丈な農耕馬が必要だ。その馬を得るために訪れた村の競り市で、テッドは精悍な若いサラ…
夏の風物詩といえば金魚、その金魚をさまざまな水槽で、しかも音楽や光や映像による演出を加えて展示する催しだった。 日本橋という地の利もあり、来場者は平日夜にしてはとても多かった。「めざましテレビ」で紹介されたようでコマーシャル効果もあったよう…
太平洋戦争の終戦を5日後に控えた日、福岡の青年吉村修は、上官の命令により捕虜となったアメリカ兵を日本刀で処刑する。彼は、終戦後名前を隠して逃亡することを指示され、何かあったときには自決できるよう拳銃を持たされる。 逃亡を経て彼は、多治見の製…
日本橋の欄干には翼を持つ伝説の麒麟像がある。ある夜、この像のたもとに男性がナイフで刺され倒れているのが見つかる。倒れていたのは、メーカーの部長青柳武明(中井喜一)であった。彼は血に染まった白い折鶴を麒麟像に捧げながら亡くなった。 一方、この…
盛夏に行われたこの催しは「東京文化発信プロジェクト」という東京都主催の企画で、第一部は落語を三席、そしてこれに続いて花街のおどりとして新橋と赤坂の芸者衆による踊りが披露された。 柳亭市馬「七段目」、芝居好きの若旦那は何をやっても芝居がかって…
地元の習志野文化ホールには、舞台上手にパイプオルガンが据え付けられている。これはドイツのベッケラート社が製造したオルガンで、日本では最初か二番目に設置されたものらしい。 パイプオルガンもたまには聴きたくなる。最近、映画『惑星ソラリス』で、バ…
未来都市メトロポリスでは、資本家と労働者の格差が広がり、労働者たちは地下の機械室で巨大な機械を相手に非人間的な労働を繰り返し、うなだれる毎日を送っていた。 資本家の息子フレーダーは、父親フレーダーセンの富を背景に享楽的な日々を過ごしていたが…
惑星ソラリスは一面の海に覆われており、地球からその研究のためソラリスの軌道上を周回する宇宙ステーションに三人の研究者が送り込まれている。しかしソラリスでは、行方不明者の探索に向かった飛行士バートンが錯乱状態で帰還したり、ステーションからの…
浅草演芸ホールは初めてだったが、まあともかくずいぶんと老朽化したホールで、次から次へと芸人が登場する。一人あたりの時間が短いのかしら。 一階はほぼ満席で仕方なく二階へ回ったが、舞台を上から見下ろすというのも、落語や漫才のように直接観客に語り…
このコンサートは、デビュー30周年を迎え、国連平和大使でもある奏者が、九州から北海道まで浦上天主堂や本願寺など各地の宗教施設を会場として行うもので、いくつかの会場では無料で開催されている。この東京のコンサートだけは、宗教施設ではなく紀尾井ホ…
少年少女たちの優美ながらも熾烈な戦いは夏休みに行われる。 今年も関東地方を中心に全国から集まった若いダンサーたちが、それぞれ3分という持ち時間にこれまでの長い時間をかけた練習の成果を披露した。 拍手が禁じられているのは寂しいが、それぞれは古…
長い改装期間を経て東京都美術館がリニューアルオープンした。場所や大まかな建物の構造、潜るように入っていくエントランスなどは以前のままだ。 今回の『マウリッツハイス美術館展』では、日本でもっとも注目されている画家であるヨハネス・フェルメールの…
金原亭駒三「たが屋」、江戸の夏の風物詩といったら花火だが、そんな花火見物の客で賑わう両国橋で殿様一行とすれ違う際にひと悶着。やむなく殿様一行に立ち向かう「たが屋」、江戸っ子らしい気っぷの良さがよく出ていた。 桂ひな太郎「酢豆腐」、寄り集まっ…
松崎海(愛称メル)は、横浜に近く海に臨む町の高台にある「コクリコ荘」に暮らし、地元の港南学園に通う高校二年生だが、船員であった父を朝鮮戦争時の機雷事故により亡くし、大学教師である母とも離ればなれの生活を送っている。 「コクリコ荘」は昔、医師…
グスコー・ブドリは森で生まれ、木こりの父と優しい母、そして妹ネリの四人で平和に暮らしていた。しかしあるとき彼の地は長く厳しい冷害に襲われ、一家は離散してしまう。残されたブドリは家を出て、同じ山中の農家で働くようになる。 稲の病気などがあった…
根津美術館は、地下鉄の表参道駅の近くでひっそりと落ち着いた一画にある。 和を意識した二階建てで、長いエントランスの壁は竹が一面に使われている。敷地内には傾斜した地形を利用してつくられた回遊式の広い日本庭園もある。 今日は、「中世人の花会(は…
この作品は、信州伊那谷の農村に生まれた子どもたちが、村に伝わる歌舞伎を演じることを通じて育ち、そして戦争で引き裂かれていくありさまを描いている。 主人公の半次(片岡孝太郎)は木地師の孫で、母親を早くに亡くし、祖父の仕事を手伝いながら二人きり…
ブリヂストン美術館のこの企画展では、草創期の「石橋正二郎コレクション」から始まり60年間にわたって収集された絵画・彫刻作品を「自画像」、「レジャー」など11のテーマ別に分類して展示しており、テーマごとにそれぞれの芸術家の作風の違いを楽しめるよ…
シュツットガルト・バレエは2008年の公演以来4年ぶりの来日となる。前回は東京文化会館で『眠れる森の美女』を観たが、その舞台は今でも明瞭に記憶している。その後もバレエ公演を折に触れて見続けるきっかけとなったすばらしい舞台だった。 今回の『白鳥の…
主人公の脚本家の青年ギル・ペンダー(オーウェン・ウィルソン)は小説家になることを志しており、「1920年代のパリ」に憧れ、そして「雨の降るパリ」を愛してやまない。 そんな彼が、フィアンセのイネス(レイチェル・マクアダムス)を伴ってパリを訪問する…
この日は、ニューヨークのオルフェウス室内管弦楽団を迎えたコンサートで、メインは五嶋龍(Vn)をソリストにベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61、そしてロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲、メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調「…
今回のMETの椿姫は演出が一風変わっている。ミラノ・スカラ座で使われるような、貴族のサロンやパリのアパルトマンなどを再現する伝統的な舞台装置は用いず、ぐるりと囲む高さ数メートルのコンクリートの壁と大きな時計、そしてソファーが舞台装置のすべて。…
今日の寄席では、相変わらずの軽妙さで桃月庵白酒が観客に受けていた。語り口が面白く飽きさせない。 中入り後の昭和のいる・こいる、ツッコミ役はずいぶんお疲れで大丈夫かしら、という雰囲気だったが、いつもの定番のネタのやり取りながらこれも受けはよか…
本日のプログラムは、プロコフィエフ交響曲第一番と前夜祭でも聞いたショスタコーヴィチピアノ協奏曲第一番である。 プロコフィエフの交響曲は、全体として伝統的な作風で、いつもバレエ音楽で耳にしている「プロコフィエフらしさ」をあまり感じとることがで…
ロココ調全盛期のフランスの画家ユベール・ロベールの作品を集めた展示で、ほかに同時期のオノレ・フラゴナールやフランソワ・ブーシェの作品なども併せて展示されていた。 赤いチョークを使った習作が多かった。念入りに習作を行い、その上で油絵として大判…
今日は前夜祭ということで、まずは『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』といったおなじみのバレエ音楽を、東京都交響楽団による演奏から始まった。いつもはオーケストラピットからの演奏を聴いているわけだが、今日は舞台上からの演奏ということで響きもひとき…
ここはルーブル美術館かと見紛うような、表現の仕方に迷うが「しっかり系」の重厚な作品が多かった。 見事だけれど、これはエルミタージュ美術館という箱に陳列されるのが似合っている。
セザンヌといえば、自分にとってはあのリンゴを盛ったテーブルと、サントヴィクトワール山の風景が思われる。 印象派の画家の中でも独特な位置を占めていて、好きなのかというとそうでもなく、では気にならないのかというと少し気になるといった存在である。…