2008-01-01から1年間の記事一覧

オペラ『MET創立125周年記念 オープニング・ガラ』歌舞伎座(METライブビューイング)

昨年に引き続き、大晦日に歌舞伎座を訪れた。昨年は、グノー『ロメオとジュリエット』を通しで見たが、今回は『オープニング・ガラ』ということで、ヴェルディ『椿姫』(第二幕)、マスネ『マノン』(第三幕)、R.シュトラウス『カプリッチョ』(最終場面…

歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒』歌舞伎座

吉原を舞台として、田舎から出てきた商人佐野次郎左衛門が花魁の八ツ橋の美しさに心を奪われ、身請けをしようとするが、八ツ橋の親代わりである釣鐘の権八の計略で逆に縁切りされることとなり、衆前で恥をかかされた次郎左衛門は出直した際に名刀籠釣瓶で八…

歌舞伎『京鹿子娘道成寺・佐倉義民伝』歌舞伎座

『京鹿子娘道成寺』 この作品ほどよく上演されるものもないが、もともとは女方の舞踊であり、今回の上演のように坂東三津五郎のような立役が勤めるのは珍しいということになる。振付も坂東風で道行の浄瑠璃に常磐津を用いるという独特のものである。 物語と…

バレエ『シンデレラ』新国立劇場

今日は、職場の同僚やご家族合わせて7名で新国立劇場を訪れた。演目は『シンデレラ』、『くるみ割り人形』とともにクリスマスの時期の定番である。ロビーやホワイエには、この時期らしくクリスマスツリーが飾られていた。三階にあるレストラン『マエストロ』…

シュツットガルトバレエ団『眠れる森の美女』東京文化会館

まったくのところ鳥肌の立つような公演だった。海外の有力バレエ団の実力を見た思いである。公演終了後も拍手が鳴りやまず、何度もカーテンコールが繰り返され、観客も前列の方はスタンディング・オベーションであった。 この公演は、バレエ団の新たな時代を…

ワレリー・ゲルギエフ『白鳥の湖』マリインスキー劇場管弦楽団

『白鳥の湖』については、ロンドン交響楽団の典雅な演奏によるCDをきいているところだが、いつも行く秋葉原の石丸電気クラシック&ジャズ館で聞いたこのCDの演奏の重厚さに惹かれて購入した。とりわけ弦の低音が身体を震わせるような勢いで響いてくる。…

バレエ『アラジン』新国立劇場

今日は、舞踊部門の次期芸術監督となることが予定されているデヴィッド・ビントレーにより創作された『アラジン』を観に行った。三幕からなり、中国・モロッコを舞台として展開される。アラジンという青年が、街中でとらえられたところをマグリブ人に助けら…

歌舞伎『盟(かみかけて)三五大切』歌舞伎座

鶴屋南北の作品で、赤穂浪士の吉良討ち入りを伏線として展開する狂言。浪人の薩摩源五兵衛(仁左衛門)は、芸者の小万(時蔵)に入れ込んでいるが、小万には笹野屋三五郎(菊五郎)という夫がいる。源五兵衛の用立ててもらった百両をこの三五郎が、ごろつき…

スヴェトラーナ・ザハロワ「オデットにはダンサーの人間性と人生がそのまま現れる」(『日本芸術文化振興会ニュース』平成20年6月号)

■内容 ・新国立劇場に初めて出演したときは、劇場全体が明るく、アーティストが仕事をしやすい環境が整っていること、バレエ床が舞台に敷いてあったこと、舞台機構の充実度、劇場と客席が近くて見やすいことなどが印象的でした。 ・(牧芸術監督は)私のこと…

平幹二郎、麻美れい他『山の巨人たち』新国立劇場

新国立劇場で演劇を観たのは初めてである。 平幹二朗、麻美れい主演のこの作品だが、イタリアのノーベル賞作家ルイジ・ビランデルロ(1867~1936)によるもので、遺作であり未完成の作品でもある。 正直なところ、難解でストーリーがよく分からない。山間に…

宝塚雪組『ソロモンの指輪/マリポーサの花』東京宝塚劇場

初めて宝塚公演をみた。劇場は間口は広いが高さがそれほどなく、歌舞伎舞台と少々似た構造だった。花道が両脇についていて、花道でも演技が披露される。手前に本当に小さなオーケストラピットがあり、ピットの前には「銀橋」と言われる、スターだけが通るこ…

西洋美術館『ヴィルヘルム・ハンマースホイ展-静かなる詩情-』

実はこの画家についてはまったく知らなかった。日本では初めて行われる回顧展のようである。たまたま美術館脇を通ったときに展示を紹介する看板を見て、その光の表現の繊細さに惹かれ、穏やかな秋の日に訪れた。 ヴィルヘルム・ハンマースホイ(1864~1916)…

歌舞伎『雪暮夜入谷畦道(直侍)』歌舞伎座

雪の情景が印象的な舞台だった。 黒御簾からの低い太鼓の音が、雪の降る情景を効果的に表現していた。 舞台は、入谷のそば屋で菊五郎扮する片岡直次郎がそばをすすりながら燗酒を飲むところから始まる。雪の夜道を、大またでまたぐように歩いたり、小またで…

新日曜美術館『20世紀美術の異端 不思議な箱のコーネル』

・ジョセフ・コーネル(1903-1972)は、アメリカで生まれ、箱のアーティストという異名を持つ。 ・コーネルの作ったさまざまな箱を見ていて、最初のうちは変わったものを作ったんだなあというくらいの印象だった。しかし、「観てどうか」ということだけでな…

バレエ『シンデレラ』など 新国立劇場

○ザハロワ/ウヴァーロフ『眠れる森の美女』 ・2時間45分、ストーリーとしては、『白鳥』のような悲劇性・切迫性は薄いが、バレエそのものとしてはまさにグランド・バレエという言い方がぴったり来る。 ・主役のオーロラ姫は45分、デジレ王子は1時間15分くら…

歌舞伎『近江源氏先陣館(盛綱陣屋)』歌舞伎座

一月に一回と決めていたのにまた歌舞伎に行ってしまった。 さて、今日の歌舞伎は『盛綱陣屋』である。 実の母親の前で子どもが切腹するなど可哀相な内容ではある。 盛綱役の吉右衛門、左團次好演だった。

新日曜美術館『母と娘 咲き誇るいのち 丸木スマ・大道(だいどう)あや』

水彩で描かれた絵は、一見してプロの絵という印象ではない。二人は母娘であるが、そろって70歳、60歳過ぎになってからたくさんの絵を描いた。 とりわけ大道あやの花火の絵、これは夜空を数えきれないほど多くの大きい、小さい花火が埋め尽くしている。そして…

ドラティ、コンセルトヘボウ管弦楽団『眠れる森の美女』

Sleeping Beauty アーティスト: Tchaikovsky,Dorati,Cgb 出版社/メーカー: Polygram Records 発売日: 1990/10/25 メディア: CD クリック: 21回 この商品を含むブログ (1件) を見る ほとんどハイライトによる録音が多い中で珍しく全曲版を購入してみた。 この…

バレエ『ドン・キホーテ』東京バレエ団(東京文化会館)

ドン・キホーテ (岩波少年文庫 (506)) 作者: セルバンテス,牛島信明 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2000/06/16 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 49回 この商品を含むブログ (22件) を見る どんなきっかけで手にとったかは忘れてしまったが『ドン…

出光美術館『ルオー大回顧展』

今日はこれまでの猛暑にかわり、雨の降る随分涼しい日だったが、最終日となるこの展覧会に行ってきた。 ルオー(1871~1958)について知っていたことといえば、宗教画家であること、ステンドグラスの手法を用いた画法であり、輪郭を濃く絵の具を厚く塗り、透…

「夜の女王のアリア(おお震えるな、わがいとしい息子よ)」(モーツァルト『魔笛』)

正直言うと、最初聞き始めたころはこのアリアは好きではなかった。 いたずらに高い声を出しているように聞こえるし、タミーノの「何と美しい絵姿」の叙情的な歌い上げと比べると、どこかテクニックばかりが目立ってしまっている印象を持っていた。 しかし、…

「清き女神(Casta Diva)」(ベッリーニ『ノルマ』)

難しいアリアだと思う。 ゆっくりと始まるオーケストラ伴奏、これが一回主旋律を弾ききり、改めて主旋律に帰ってきて歌が始まる。静かな歌い出しからドラマティックになり、また静かに、を繰り返す。 とりわけ、この曲というとミラノ・スカラ座での1960年9月…

バレエ『ラ・バヤデール』新国立劇場(NHK教育『芸術劇場』2008年8月1日放映)

これは、2008年5月20日と24日に新国立劇場で行われた公演を放映したものである。 まず最初に中條誠子アナウンサーから牧阿佐美新国立劇場芸術監督へのインタビューがあり、作品の内容や新国立劇場の取り組みなどについて語られた。 この作品の舞台となるイン…

国立西洋美術館『コロー展』

カミーユ・コローは、19世紀フランスの画家であり、ロマン派から印象派への過渡期を生きた。 初期は明るい作品を多く描いたが、後期は森の風景などを中心にやや暗い色調の絵を描くようになっていった。旅先で素材を探してデッサンし、パリに帰って仕上げてい…

オペラ『椿姫』新国立劇場

「高校生のためのオペラ鑑賞教室」として開催された本公演に参加した。 前回のバレエでも学生団体が入っていたが、今回はそれ以上に会場がざわついており序曲が始まっても静まらない。もともと「高校生のため」を目的とした公演であり、当日券を手に入れた一…

歌舞伎『義経千本桜(河連法眼館の場)』国立劇場

先月に引き続き再度「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」に参加した。通称「四の切」と言われるこの場のストーリーは以下の通り。 義経は、兄頼朝に追われ都落ちし、吉野山の河連法眼の館に匿われている。しかし、その河連法眼もいつまで義経を匿いきれるか難し…

音楽CD:アンドレ・プレヴィン、ロンドン交響楽団『白鳥の湖』1976年

チャイコフスキー:白鳥の湖(全曲) アーティスト: ロンドン交響楽団プレヴィン(アンドレ),チャイコフスキー,プレヴィン(アンドレ),ロンドン交響楽団 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック 発売日: 2008/01/23 メディア: CD クリック: 11回 この商品を含…

富について

かつてNHKの経済ドラマ『ハゲタカ』のエンディング・テーマに使われた、エミリ・ブロンテの詩「富は問題にならぬ」(Riches I hold in light esteem)、意味深い詩だとおもわれるので掲載した。 「富なんてものは問題にもならない。 恋だって、考えただけ…

バレエ『白鳥の湖』新国立劇場

前回、6月25日にこの公演を観てきたばかりである。だが、内容が充実しておりすばらしかったという印象が強く、期間中にもう一度観ておきたいと思い、再び新国立劇場を訪れた。 電話で当日の残席状況を確認したところ、C・Dなら何とか大丈夫とのことだった…

バレエ『白鳥の湖』新国立劇場

日本を代表するオペラハウスである新国立劇場については、興味がありつつも少し離れた初台にあるため、これまで訪れる機会がなかった。しかし、偶然ホームページで確認したところ、中高生当時にはその旋律を頭の中で再現できるほど聞き込んだバレエ『白鳥の…