映画『八日目の蝉』監督:成島出、2011年

 

八日目の蝉

八日目の蝉

 

■あらすじ(シネマトゥデイより)

 子どもを身ごもるも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかない希和子(永作博美)は、ちょうど同じころに生まれた男の妻の赤ん坊を誘拐して逃亡する。しかし、二人の母娘としての幸せな暮らしは4年で終わる。さらに数年後、本当の両親にわだかまりを感じながら成長した恵理菜(井上真央)は大学生になり、家庭を持つ男の子どもを妊娠してしまう。

■感想(個人的評価:★★★★★)

途中まで、そう、貴和子と薫がシェルターに避難するところまでは、伏線としての大人になってからのストーリーも併せ、「暗さ」や「つらさ」、シェルターの「奇妙さ」などが目立ち、途中で観るのをやめようかと思ったくらいでした。

しかし後半部のシェルターからの逃避行から小豆島での生活は、美しい島の情景や優しい人々とのつながりを背景に、薫が伸びやかに育っていく様子が、まるで日本の原風景を見るようでした。とくに「虫送り」の場面「とーもせ、ともせ」の掛け声とともに、棚田を練り歩く火手の美しさときたら・・・。それらは前半の暗さがあるからこそなお際立っていると思われました。

母娘の何気ない会話などにも愛情が満ち満ちていて、それだけに写真館での記念撮影の場面、最後のフェリー乗り場での場面など、記憶に深く残る映画となりました。