2011-01-01から1年間の記事一覧

自分の立ち位置

現実の社会では、その地位に関係なく人は不自由であることが多い。ある意味では地位が高ければそれなりの権限があるわけだから自由と言えるのかも知れないが、一方では、組織の可視的な、また不可視のルールに縛られるのがそうした人々でもある。 他方、とく…

バレエ『くるみ割り人形』新国立劇場バレエ団

『くるみ割り人形』は、大人も娯しめるバレエになるか、それとも子ども向けのバレエにとどまるのか、これが舞台の成否を決めるポイントである。 この演目は、一幕はほぼ演劇に近く、二幕は伝統的なディベルティスマンが続く形式だから、親しみのある音楽であ…

ブログと人生の交差

例えば、自分が映画やコンサート、あるいはレストランなどに行き、その感想をブログに記録する。そんなことをする人は世に多くいるので、必ずといっていいほど同じ映画なりコンサートに立ち会った人、同じレストランで食事した人もブログを残している。(検…

ミュージカル『オペラ座の怪人』ロンドン・ロイヤル・アルバート・ホール

ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで25周年記念公演として上演されたこの作品が映画化された。正直なところこれまでミュージカルとは無縁だったけれど、一週間だけ地元の映画館で上映されるという貴重な情報を同僚から得て雨の寒い土曜日に訪れた。 作…

論理的な思考と社会把握

論理は立論内容の根拠付けを行うものであるが、これは別の側面から見ると、あるものと別のものの関係性を立証することでもある。 こうした作業は、社会において生じる事柄の因果関係を突き止める行為にも似ている。 物事は言葉の世界で起きているわけではな…

バレエ『海賊』ABT、パフォーミング・アーツ・センター(カリフォルニア州オレンジカウンティ)

『海賊』は、日本ではバレエの演目としてそれほど多く上演されてはいないと思う。クラシカルな作品ではあるが、今回この上演を見てその理由が分かるような気がした。 印象として、舞踊部分の見どころは多くあるが、音楽部分がどうも薄いように感じられる。バ…

映画『小さな村の小さなダンサー』監督:ブルース・べレスフォード、原作:リー・ツンシン、2009年

この映画は、文化大革命時代の中国の貧しい農村に生まれた男の子、リー・ツンシンが、選ばれて北京でバレエの教育を受け、さらに実力を認められてアメリカのヒューストンバレエ団に派遣され、その才能を開花させるストーリーで、実際にバーミンガム・ロイヤ…

人間と情報

少なくとも、インターネットなどから受ける情報が人の教養に及ぼす正の効用はそれほどないはず。というのも、昔の教養人はそんな道具の持ち合わせなどなくもっぱら書物と自身の考えを深めることで幅広い教養を身に付けていた。 情報の水路の確保は、不必要な…

サントリーホール フェスティバル ファイナルコンサート《譚盾/マーシャルアーツ三部作~映像付き演奏会》サントリーホール

このコンサートは、ヴァイオリンの五嶋龍、中国箏のジャオ・シャオシア(真っ赤なチャイナ・ドレス)、チェロのアメデオ・チッケーゼ、ピアノのユンディ・リを迎え、作曲家としてさまざまな映画音楽を手掛ける譚盾(タン・ドゥン)を指揮者に、マーシャルア…

バレエ『パゴダの王子』新国立劇場バレエ団

今シーズンの冒頭を飾る演目で、ビントレー芸術監督自身が構想を温め、演出した三幕構成の新しい作品である。日本では、作曲者のブリテンの音楽を含めて馴染みがないせいか、観客も半分期待しつつつも、チラシの「カメレオンとさくら姫」の構図と、あらすじ…

SNS、Twitter

それぞれの人の持っているポテンシャルや歴史はそれなりに大きいものだ。 今はそれを結ぼうとしてSNSやTwitterなどの取り組みが盛んだけれど、実はあまり人間性の向上に繋がらないどころか、言葉の使いかたにも顕著に見られるように、逆に劣化につながってさ…

昔のひとの筆跡

学生のとき、明治時代初期の戸籍をデータベース化する作業に当たっていた。当時の公文書はもちろん墨と筆で記載されていたわけだけれど、その筆跡が確かなものだったことが今更ながら思い返される。 当時の教育水準の高さといった一般的な言葉で括られがちだ…

ゆっくり動くことの効用

自分もそうだが、どうもせっかちに動きすぎるきらいがある そして、その反対に、やる気にならず、何もしないことも多い こうしたことを見るに、行動と考えがバラバラになっていることがあるのではないか 行動の一つ一つを思慮しながら行うことは本人にとって…

バレエ『リーズの結婚』牧阿佐美バレエ団(ゆうぽうと)

アシュトン振り付けのコミカルなバレエで、フランスの農村を舞台に、リーズとコーラスという若い二人の恋愛劇を描いた作品である。 冒頭からニワトリのダンスがあったり、滑稽な母親とのやり取りなど楽しませる要素が盛り込まれている。またリボンなどの小道…

ビル・エヴァンス「Bマイナー・ワルツ」

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング +3 アーティスト: ビル・エヴァンス 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン 発売日: 2010/06/23 メディア: CD 購入: 1人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (1件) を見る もうとうに忘れ去っていたけ…

映画『ショーシャンクの空に』監督/脚本:フランク・ダラボン、原作:スティーブン・キング、1994年

この映画を見ながら、何度も頭をよぎる問いは、われわれの日常は、この映画で終始一貫して描かれる、不条理な規律に支配された監獄と比べ、本当に自由で、希望に満ちたものといえるだろうかということである。 主人公であるエリート銀行員のアンディは、身に…

ホキ美術館

よく晴れた秋の日に、千葉市土気の落ち着いた住宅街に写実絵画専門の美術館として昨年11月に開館したホキ美術館を訪れた。この美術館は、細長く、曲線を活かした特徴のある三層構造の建築であり、約160点の作品を鑑賞できるようになっている。 ◆印象に残る作…

バレエ『オープニング・ガラ』新国立劇場バレエ団

このシーズンの冒頭を飾る、いわば顔見世の興行で一日限りの開催である。 構成は、まずビントレー芸術監督の振り付けになる『アラジン』の一幕、そして休憩をはさんでパドドゥ三作品(『眠れる森の美女』、『ロミオとジュリエット』、『ドン・キホーテ』)、…

得意を活かす

人間は夢中になれるものにしか、所謂「労働力」以上の力を発揮できない。 以前の上司が言っていたように、自分を認識して、「苦手を克服する」よりも「得意を活かす」ことにこそ傾注すべきだ。 それが自分という存在をかけがえのないものにする。

人間を動かすもの

人間は、「~すべき」という理屈で動くものではない。 ・こういうことは面白い ・こういうことは自分の性に合っている こんな要素があってはじめて「夢中になって」取り組むのであって、いくら意義があると感じても、取り組みに結実するかは別の話なのだ。 …

言葉と生き方

「人は言葉の生き物」言葉を創り、言葉に縛られる。 自分の背骨となる言葉を自分自身が紡ぎあげることが必要。この集大成がまさに自分ということではないか。 分野を設定し、自分なりに短文をつくればよい。(生涯をかけて編集する)

アーティス・オルガ「音による自伝」

戦後世代について、彼(アルトゥール・ルービンシュタイン)はいつもこうこぼした。「考え方が小さいし、行動も小さい。感じること、間違いをおかすことを恐れている。なにかを情熱と歓びをもって語ることに、関心を向けない。ピアノの演奏は危険なことだ。…

人間はどんなときに喜びを感じるか

・何かを達成したとき (たかが掃除でも達成するとスッキリする) ・物事を理解できたとき ・物事が自分の配下にあると感じられたとき (スッキリ整頓された仕事、部屋など) ・人から感謝・評価されたとき ※これは岡田斗司夫さんの4類型と合致しているので…

東北関東大震災による習志野市袖ヶ浦地区の被災状況について

習志野市袖ヶ浦地区は、国道14号線の南に広がる、1960年代半ばに干潟を埋め立てて造成された土地です。都市再生機構の袖ヶ浦団地をはじめ住宅地となっており、住民の高齢化が問題となっています。 今回の震災の被災状況を、震災から1週間以上経った3月20日…

クローズアップ現代「テレビはいらない?!~急成長するインターネット放送~」

先月行われた東京マラソンでは、「走りながらスマートフォンで映像・音声を実況中継する」ランナーが現れた。現在、誰もがインターネット上で放送できる一億総放送局時代を迎えようとしている。政治家も、自分の主張の場として、内容が編集されないインターネ…

クローズアップ現代「シリーズ変わる農業 味と質で勝負 ニッポン農業に勝機あり」

日本産の農産物は、独自の技術により高品質なものを作り上げてきた。これをどう売り込むのか。 生産自体を海外で行い、現地で販売しようとする取り組みが行われつつある。 タイでは、日本の農業法人が有機農法で作ったバナナが、通常の価格の三倍もするにも…

クローズアップ現代「シリーズ変わる農業 コメ輸出 農業は再生するか」

日本の米を中国の富裕層が購入するようになってきている。農林水産省は中国に向けて日本の米を積極的に売り込もうとしている。コメ輸出で日本の農業は再生するのか。 日本におけるコメ消費量は823万トンであるのにたいし、中国では1億3,000万トンである。日…

クローズアップ現代「若い世代の自殺を防げ~境界性パーソナリティー障害~」

若い世代の自殺が増えているが、その原因の一つとして「境界性パーソナリティ障害」がある。 この障害は、突如として感情を爆発させたり、孤独感が強く、見捨てられるのではないかという恐れを常に持っている。 リストカットを繰り返したりする。自殺未遂の…

福祉ネットワーク シリーズ 動き出した自殺対策(2)「自治体の取り組みから」

12年連続で自殺者が三万人を超えている。特に三月は自殺者が多い。リスクが高いうつの早期発見のキャンペーンが展開されている。また、自殺者の時期や年代、職種などを調査した結果を対策に活かそうとしている。 自治体でも複数の部署が連携して取り組みを進…

クローズアップ現代「岐路に立つお寺~問われる宗教の役割~」

1,500年にわたってお寺は日本人と密接なかかわりをもってきたが、現在、寺離れが進んでいる。大きな原因は墓を、寺の墓地から葬儀会社が運営する霊園へ引越しする動きである。 こんな中、宗教の原点に立ち戻って寺のあり方を見直そうという動きが出ている。 …