『フェルメール光の王国展』フェルメール・センター銀座
フェルメールは生涯に37点の作品を残したが、このすべてをデジタル技術でプリントして製作当時の状態に復元し、収蔵美術館における実際の額装で展示するという面白い試みである。
作品のほか、フェルメールの絵画の構図を実際の部屋として再現し、記念写真を撮ることのできる空間を仕立てあげたり、顕微鏡の発明者レーウェンフックの書簡類や当時の光学装置が展示されていた。
フェルメールの作品を一堂に見ることができるという試み自体に興味を覚えたが、実際のリマスター作品に向き合ってみると、どうしても人工物としての印象を拭えなかった。より具体的には、350年あまりを経過して絵に現れる褪色や劣化、ひび割れのようなものを含めて作品としての印象が確立しているところ、リマスターで生々しく表現されているところに違和感を感じた。作品自体は、妙にのっぺりとした印刷物のような感覚があり、どちらかというと複製という形式の方が本物に近い印象を生むのではないかとも思われた。
■ヨハネス・フェルメール 1632年~1675年