現代環境法の諸相( 09)第11回「環境法システムを設計する(3)」

押さえつけて従わせるのではコストがかかる。規制対象者の自発的な行動を仕向ける誘導的手法はコストがそれほどかからない。

環境を守るために条例を作るためにはどのような仕組みをビルトインするべきなのか。

誘導的手法には、情報的手法と経済的手法がある。後者は補助金、利子補給や融資などがある。

強制的手法と誘導的手法を組み合わせるのは、ハイブリッド手法といわれたり混合手法といわれる。

情報的手法では、一定の規制遵守者についての有利な情報を流すことである。これにより売り上げが伸びる可能性がある。

罰則の強化はたしかに効果につながるかもしれないが、多くの税金が投入されることになる。また、刑罰は行政目的で定めてよいものかどうかという問題がある。摘発しても、実はその利益は違う業者が得ているかもしれない。

合意的手法、公害防止協定・環境保全協定の締結状況は毎年1,000件程度に上る。機械工業や産業廃棄物処理業をはじめさまざまな企業と締結を行っている。

これまではここの企業が行政と結んでいた。しかし、これからは業界と国が結ぶこともあるだろう。

行政代執行では、行政は相手方に対して費用を要求することになる。しかし、相手方は費用を払えない場合も多い。このために国、都道府県、産業界から基金を積み立てている。

民法では709条で過失がなければ損害賠償責任を問われないことになる。しかし過失の立証は難しい。しかし大気保全防止法では、故意または過失という言葉が入っていない。そうしたことがなくても実際に被害が伴えば損害賠償を行うべきことが規定されている。