クローズアップ現代「“南西”へ向かう自衛隊」

中国海軍の近代化や朝鮮半島の緊迫化をふまえ、新しく作る政府の「防衛大綱」では南西諸島・東シナ海における自衛隊の増強を計画・実施しようとしている。これまでの北方中心から南西へのシフトを行おうとしている。

長崎にある陸上自衛隊の離島防衛専門部隊がその活動の中心の一つである。遭難者の救出訓練という名目で上陸訓練を行ったりしている。

西部方面普通科連隊、600名を擁する精鋭部隊である。有事の際最初に派遣される即応部隊である。訓練でもっとも重点が置かれているのは水泳である。一日5時間以上泳ぐのがノルマでこれまでの陸上自衛隊ではなかった訓練である。戦闘水上生存術といって、装備を身に付けたまま泳いて上陸する隠密上陸などの技法も学んでいる。

日本最西端の与那国島、人口1,600人であるが、ここへの部隊配置の動きが進められている。自衛隊の配備には反対する人々もいるが、地元との調整を進めている。

石垣島でも同じ動きがある。第二次世界大戦の地上戦で被害を受けた土地であり、自衛隊への反感も強い。

(社会部記者 石山)中国海軍の活動は活発化している。東シナ海海洋資源や自国の船舶の安全な通行などを目的としている。新しい防衛大綱では陸海空すべての防衛力を増強しようとしている。

(石山)地元では防衛力の増強に根強い反感がある。自衛隊の拠点ができることでかえって狙われるのではないかという見方もある。

アメリカ軍も増強を図ろうとしている。最近、ワシントンの海兵隊の高級幹部が市ヶ谷の防衛省で南西諸島における部隊の増強について自衛隊と打ち合わせを行ったりしている。