バレエ『白鳥の湖』K-Ballet、2003年11月
熊川哲也による改訂振付の『白鳥の湖』である。プロローグで、オデットが白鳥に変えられるシーンが出てくるが、新国立劇場の牧阿佐美版と似た導入の仕方である。解説によると1953年初演のブルメイステル版でこの手法が採用されたのが初めてらしい。
第一幕は、まぶしい陽光が印象的である。こうした明るい光を効果的に使う手法はロイヤル・オペラ『フィガロの結婚』でも目にしたことがある。踊りの水準が極めて高く表現力があることは幕が開いてすぐにわかる。一幕の白眉であるパ・ド・トロワのみならずダンサーのレベルが非常に高いことがよく分かる。
第二幕でオデットが登場するが、オデット役のヴィヴィアナ・デュランテはメリハリと優美さを兼ね備えたダンスが特徴的だった。コール・ドの衣装はプリマとの差別化か、脇役らしいものだった。
第三幕で登場するオディールは、モニカ・ペレーゴという別のダンサーが務めた。各国の踊りがナポリとスペインに限定され、オディールと王子を中心にした仕立てとなっている。熊川哲也のジュテの高さ、ゆったりとした余裕は見事である。
第四幕は、とても簡潔であるという印象を持った。エンディングもいい。いつもだと間伸びしがちな幕であるが、歯切れの良い終わり方である。
最後に、いつも見ている新国立劇場のバージョンと比べ、アレンジが多いが技能の高さ、舞台美術などは見事で、さすがと思われた。音楽の構成はかなり手を入れてあるため、少し驚くところもあった。
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