バレエ『ラ・バヤデール』ボリショイバレエ団
今年は、例年と比べてライブビューイングを観る機会がありませんでした。
ですが、この11月からボリショイバレエ団のライブビューイングが上映されることになり、ちょうど、日本各地で同バレエ団の公演が行われているさなかではありますが、改めてこのバレエ団の実力を「至近距離で」観るために行ってきました。
会場は品川プリンスシネマで、品川駅から通りを渡った品川プリンスホテルの中にあります。お客さんはやはり女性が多く三分の一程度の入りといったところでしょうか。
演目は『ラ・バヤデール』、ご存知の演目ですが、これもグリゴローヴィチ版ということで、プティパ版を土台にして演出し直した版のようです。ニキヤにはスヴェトラーナ・ザハーロワ、ソロルにはヴラディスラフ・ラントラートフ、そしてガムザッティにはマリア・アレクサンドローヴァが配役されています。
他の方もブログに書いてあるので詳細は譲りたいと思いますが、この版は、基本的にプティパ版を重んじており、大きな違和感はありません。一方で、とくに第三幕に大きく手を入れているようです。ガムザッティの人柄についてもどちらかというと一途ではあるけれど思いやりのある存在に描いているところも異なっているように思われました。そして全体として長く感じられるはずの第三幕がスピーディに感じられたのは、グリゴローヴィチ版のよいところと言えるかもしれません。また、最後の神殿の場面については全く割愛しているのも特徴ですね。
全体を見ての個人的印象です。
ニキヤを演じたザハーロワについては見事というよりほかありません。特に婚礼の場での踊りについては、悲しみを踊りとして見事に表現していました。
ソロルを演じたラントラートフもよかったです。ガムザッティとのグランパドドゥのソロはとても良かったと思います。一方でザハーロワとのパドドゥではサポートがうまく行っていないようにも感じられました。
アレクサンドロワについても、ザハーロワとはタイプが全く違うけれどもシャープさの感じられる踊りでさすがと感じました。ガムザッティのヴァリエーションもよかったですが、ここの演出は、もっと押し出しが強い通常版の方が好きです。ピンクのチュチュはガムザッティらしくない感じがします。
それから、第三幕の影の王国、これもよく決まっていました。照明の色が淡い青色がかっており、映像アングルがとてもよく素晴らしいと思います。通常版よりメリハリある演出だったと思います。あまり長さを感じさせませんでした。