映画『スラムドッグ$ミリオネア』監督:ダニー・ボイル、2008年

ムンバイのスラム街に生まれた少年、ジャマール・マリク(デーヴ・パテール)は、劣悪な環境下でほとんど教育を受けることなく育った。彼は母親を、宗教対立をきっかけにした街中での暴動で喪い、兄のサリームとともに孤児となる。彼らは街中で知り合ったやはり孤児の少女ラティカーと暮らし始めるが、人さらいに連れて行かれ、その自由をも失ってしまう。そして人さらいたちに目をつぶされようとしたその時、三人は脱走するが、ラティカーは人さらいたちにつかまってしまう。別れ別れになってもジャマールはラティカーのことを一日も忘れることができなかった。ジャマールは巨大都市ムンバイでラティカーの情報を集め、そしてようやく売春窟で踊りを踊らされているラティカーを発見する。しかし、人さらいたちは、決してラティカーを渡そうとしなかった。そしてさらに月日が流れ、ラティカーが自分を見つけてくれる願いを込めて有名番組である「クイズ・ミリオネア」に出場するのだった。

f:id:alpha_c:20140803142902j:image

■感想(個人的評価:★★★★-)

この作品は、インドのスラムをリアリティたっぷりに描いています。ここに生まれたが最後、這い上がることは絶対にできない、という絶望の土地ですが、ここでのジャマールの耐えられないような身体に刻まれた体験とクイズの一問一問が結びついていく、そのストーリー構成が巧みです。インドらしさというものが非常によく出ていたのと、主人公のジャマールの演技が見事でした。