映画『東京家族』監督:山田洋次、2013年

「東京で働く子どもたちのもとへ瀬戸内の小島から年老いた両親の周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)が訪れる。初めこそ再会を懐かしんだ子どもたちであったが、やがて両親に冷たいあしらいを見せるようになる。」という、小津安二郎の『東京物語』と同じストーリーで、これを2013年の現代版としてリメークした作品です。

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■感想(個人的評価:★★★--)

本当に大胆な試みだと思います。あの『東京物語』を、50年たって変貌したこの時代に、同じ家族構成で再度作品として構成できるものなのかと興味深く観ました。

しかし、つくり方はさすがと思わせるもので無理なく小津安二郎の世界を再構成しています。

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映画も後半になり、とみこが倒れてからのストーリーは、一番基礎にある家族という人間関係が綻びつつありながら紀子(原節子)という希望があった『東京物語』に比べて、『東京家族』の紀子(蒼井優)は優しい子だけれどやはり現代的で、綻びを埋めるほどの存在感は感じられませんでした。しかしそうした人間関係こそが現代版『東京物語』であり、われわれの世の中なのかも知れません。