オペラ『ラ・ボエーム』メトロポリタン歌劇場、2014年

今年のライブビューイングのシリーズでも、この作品だけは一日三回上映されます。それほどの人気演目ということですね。

演出もフランコ・ゼフィレッリによる伝統的な演出で、最近の「新演出」に食傷気味の人や当時のパリの雰囲気を味わいたい観客には一番だったのではないかと思います。

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この公演は、ニューヨークでは4月5日に行われたものなのですが、当日は風邪でミミ役のアニータ・ハーティッグが降板となり、前日に蝶々夫人を務めたクリスティーヌ・オポライスが急きょ当日の朝に抜擢され、この役を務めました。(当日は2時間ほどしか寝ていなかったようです)

さすがに一幕では、即席登板のせいか、他の歌手と比べ残念な部分も見られましたが、終幕に近づくにつれてよくなっていったと思います。ですがやはりこの演目といえば「私の名はミミ」ですからね・・・。この曲では、どうしてもカラスやコトルバシュの歌がちらついてしまいます。この歌手にはそうした儚い可憐さを感じることができませんでした。

率直な印象としては、ムゼッタ役のスザンナ・フィリップスの力量が抜けていて、次作の「コジ・ファン・トゥッテ」でも歌うので楽しみです。