映画『ザッツ・エンターテインメント』監督:ジャック・ヘイリー・jr、1974年

アメリカのミュージカル映画は、1929年にメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(後のMGM)が「ハリウッド・レビュー」を作品化し、それ以来多くの作品が生まれた。これは映画がサイレントからトーキーへと移ろうとする時期とちょうど重なっている。歌と踊りから始まったミュージカルだったが、その後大仕掛けな舞台と華やかな衣装で観客を魅了した。

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■感想(個人的評価:★★★--)

ともかく舞台がアメリカ的に大仕掛けなこと、そしてフレッド・アステアに代表されるタップダンスの切れ味、力強さ、出演者がやたらに多い、しかし斉一で、そしてなんと言ってもアメリカらしい陽気さ、滑稽味、一時代を作ったこのジャンルの見事さに感激しました。伸び盛りで、世界の繁栄の中心という力強さを感じさせるアメリカがまさにこのミュージカル映画に姿を変えていると思います。『巨星ジーグフェルド』(1936)「これ以上ぜいたくなのは今でも作れないでしょう」というセリフそのものです。太平洋戦争中も、アメリカではこんな贅を尽くした娯楽作品を作っていたのです。戦争が終わった高度成長期の日本も、こうした雰囲気をまねていたのだということがうっすらと伝わってきました。