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落語『桂歌丸・柳亭市馬二人会』渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール

年の初めということで、落語が聴きたくなる、そんな時期かもしれない。

f:id:alpha_c:20130114145525j:image:left歌丸さんの噺は『紺屋高尾』。紺屋の職人としてまじめに働いていた久蔵だが、話のタネに吉原の花魁道中を観に行くことになる。ところがそこで傾城の「高尾太夫」に一目惚れしてしまい、何もかもが高尾太夫に見えるようになり、ついには寝込んでしまう。そんな久蔵が馴染みの町医者蘭石先生に励まされ、高尾に会うために年三両の給金を三年間使わずに貯め、とうとう高尾に会いに行き、その思いを伝える話だ。

歌丸さんは少し風邪気味で体調を崩されていたようだが、とても丁寧な話しぶりが印象に残った。歌丸さんというと『笑点』だけれども、この話しぶりの見事さは、ライブで聴いてはじめて分かるのではないだろうか。

f:id:alpha_c:20130114145524j:image:left幕が入り、太神楽をはさんで登場した柳亭市馬さんの噺は『二番煎じ』。凍てつく厳冬期の江戸で、町内の旦那衆が集まり、手分けして火事を起こさないよう夜回りをすることになる。最初の夜回り組は番小屋に戻ってくると隠し持ってきた酒や鍋の材料を使って、お燗を付け「しし鍋」を作って暖を取る。酒の勢いもあってだんだん一座は盛り上がるが、そんな番小屋に同心が訪れる。慌てふためく旦那衆を怪しむ同心に、仕方なく「煎じ薬」と称してそれまで飲んでいた燗酒を出す。

これは、出し抜きやケチ、嘘など人間の色、かわいらしさがふんだんに盛り込まれている噺だ。

市馬さんはいつものことながら図抜けて声が良い。今日の高座でも相撲の呼び出しなどを演じて見せたが、本職はだしの見事さだった。

落語は、本当に上手の手にかかると見事にわれを振り返らずにおかない。それが後を引かないのも落語らしさだろうか。