映画『ゴッドファーザーPART3』監督・脚本:フランシス・フォード・コッポラ、1990年

アメリカのマフィア界の頂点を極めたマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)だが、高齢となり、糖尿病にその身体を侵され、マフィアの世界から足を洗って静かに人生を全うしたいと考えている。彼は、1億ドルもの大金を故郷シチリアへ寄付する財団を設立し、バチカンからの叙勲を受けて盛大なパーティーを開いた。幸せに満ちたひとときだったが、その場で彼の息子アンソニー(フランク・ダンブロシオ)は大学を中退してオペラ歌手への道を選択したいと訴える。マイケルは息子に大学だけは卒業させたかったが、別れた妻ケイ・アダムス(ダイアン・キートン)の説得もあって受け入れる。

足を洗いたい彼だったが、抗争は否応なく彼を巻き込んでいく。友好的な関係にある仲間を集め、アトランティックシティーのカジノホテルで開かれたパーティー会場では、近年力を付けた新興リーダーのジョーイ・ザザ(ジョー・マンテーニャ)一派にヘリコプターに襲撃され、仲間の多くは命を落としてしまう。そしてマイケル自身も彼への忠誠を誓う甥のヴィンセント(アンディ・ガルシア)に介護され、命からがら逃げる。

マイケルは、息子アンソニーがオペラ歌手として故郷シチリアのマッシモ劇場で『カヴァレリア・ルスティカーナ』の主役トゥリドゥとしてデビューすることになり、最愛の娘メアリー(ソフィア・コッポラ)を連れて懐かしい彼の地を久しぶりに訪れる。そして公演は見事に成功するが、終演後には血の洗礼が待ち受けていた。

f:id:alpha_c:20121108202333j:image:left細部まで力を抜かない大作だった。アル・パチーノはさすがに老いて往年の力が見かけからは伺えないが、存在感たるや周りを圧するところがある。また、マイケルの後継者となる冷酷な若者、アンディ・ガルシアの演技は際立っていた。

結末のオペラ劇場のシーンは、シチリアらしい暗さと重厚感があった。久しぶりに手応えのある作品で、釘付けになった。