バレエ『オープニング・ガラ』新国立劇場バレエ団

このシーズンの冒頭を飾る、いわば顔見世の興行で一日限りの開催である。

f:id:alpha_c:20111010201135j:image:w240:left構成は、まずビントレー芸術監督の振り付けになる『アラジン』の一幕、そして休憩をはさんでパドドゥ三作品(『眠れる森の美女』、『ロミオとジュリエット』、『ドン・キホーテ』)、最後にバランシンの『シンフォニー・イン・C』という、違うタイプを組み合わせた豪華なもので、皇太子殿下もご臨席だった。

『アラジン』の洞窟の場面はこのバレエの白眉で、これでもかとさまざまな宝石のイメージに扮したダンサーの踊りが展開され、最後に一同登場して大団円となる。すでに最初の公演で自分もすでに見ているところではあるが、楽しんで見ることができた。華やかさという点ではプリンシパルの川村さんが目立っていたように見えた。

f:id:alpha_c:20111010201132j:image:w240:leftパドドゥ三品は、それぞれ代表的なパドドゥであるが、『眠れる森の美女』と『ドン・キホーテ』は上にシャンデリアを吊るし、『ロミオとジュリエット』はバルコニーを上手奥に用意して、といった簡単なセットだった。

それぞれ新国立劇場の顔となるダンサー(プリンシパルソリスト)達による競演だったが、どうか。印象としては、上手だけれど、あっと思わせるような魅力までは感じとることができなかった。どちらかというと男性ダンサーの充実ぶりが伺われた。

最後のバランシン作品は、振り付けを音楽の表現にできるだけ合わせて自然さを演出しているように見えた。全体の統一性が一般的なクラシック作品に比べて強い。そのためかとても爽やかな印象を受けた。また、こうしたバランシン作品の振付手法は最近の創作バレエにも強く影響を与えていることが感じ取れた。

今後の『パゴタの王子』に始まる公演の期待につながるような、また個人的にも大変充実した口開けの公演だった。