西部邁ゼミナール ~戦後タブーをけっとばせ~

(西部)最近酒場で「いい言葉」を聞くことができないようになっている。

日本大学藝術学部教授 佐藤洋二郎)話は聞く方が好きだ。日本は酒場が多い。旅行のよさはいい酒場に出会えること。旅行にいけないときは駅前の居酒屋を歩いている。女性の出てくる店にはいかない。

(西部)いい女、いい友達、いいお酒、いい思い出、いい書物(音楽、絵)があればと言われるが。

(佐藤)自分は一人で飲んでいる。居酒屋とか立ち飲み屋は一生懸命働く人がインテリよりもいい言葉を使っている。

(西部)最近の酒場では自分たちの話で盛り上がり、周りに目が行き届かないということがある。

(佐藤)学生に酒の飲み方を教えた方がいい。酒は一番身近な飲み物なのに、味わうこともなく、一気飲みなどをやっている。「語らう」のではなく「騒いで」いる。

(佐藤)酒場は人生が凝縮した場所である。騒がれると酒場を汚されたような気がする。酒は人間関係の潤滑油で、こじれた関係を元に戻す効果がある。

(西部)ヨーロッパでは、外国人に対して軽く会釈する。軽く一言二言を交わす。通りすがりの人を大切にしている。エチケットを守るとは、人と交流する切符(チケット)を手に入れるということである。

(西部)日本の居酒屋では、サラリーマンたちの馬鹿笑い、ひきつった笑い、が満ちている。

(佐藤)酒は静かに飲むものである。朝から夜までパブで飲んでいる。

(西部)福沢諭吉は『学問のすすめ』で日本の文化として怨望(ねたみ、そねみ)が強く、塞ぐ傾向にある、といった。

(佐藤)酒場で会話できないのはつまらない。

(佐藤)職人たちは、言葉の使い方を間違えると命を落とすことになる。クレーンの使い方を短い言葉で指示する。

(西部)侍の時代は、酒を飲んでも言葉の使い方を乱すと斬られることになる。

(佐藤)政治家の使う言葉がでたらめであり、言葉に責任を持っていない。酒場で命がけで生きている人たちの言葉の方がはるかに上である。

(佐藤)酒の飲み方がきれいな人はいい人が多い。