特報首都圏「孤独な高齢者を支えるには」

孤独な高齢者を支えるのに大きな役割を果たしているのが民生委員である。全国に23万人、ボランティアで任期は3年である。一人当たり220~440世帯を担当し、社会福祉全般の相談に対応している。

66歳の民生委員、370世帯を担当している。その中でも必ず一月に一回は訪問する世帯は10軒ほどある。一人暮らしのお年寄りの世帯についてはゴミ出しなどの手伝いもしている。認知症の女性について施設入所の検討などを薦めたりもする。ただし、どこまで支援すべきかということについては悩みの種である。

全国的に民生委員は不足している。川崎市では1669の定員のうち168については埋まらなかった。

68歳の民生委員、最近仕事がやりにくくなっていると感じている。オートロックのマンションが増え、対象の高齢者に会うことも難しくなっている。また民生委員としてどこまで仕事の範囲を広げるべきかということに悩んでいる。民生委員の役割は「社会福祉の支援」ということであり、子ども関係から高齢者関係までさまざまなことが対象になりうる、いろいろやろうとすると、ともかく時間がいくらあっても足りない。行政から重複する内容の調査を依頼されることもあり、苦慮している。

そんな中でも支援した人から励ましの言葉をもらえることが誇りにつながっており、これがこの仕事を続ける力となっている。

高崎健康福祉大学教授 金井敏)民生委員は福祉サービスの協力者という位置づけであったが、介護保険は契約行為であり、より積極的にサポートする主体になっている。また親類縁者のサポートも少なくなったことから、民生委員の出番は増えている。

(金井)負担を軽くするためには、ゴミ屋敷やお金の引き出しに関しては社会福祉協議会の制度の活用などができる。民生委員をサポートする専門集団が必要である。

中野区では、協力員を設置し、見守りをしようとしたが、いかんせん対象者が多すぎた。このため町内会や自治会に孤独な高齢者などの名簿を渡して対応しようとしている。この制度実施にあたっては個人情報関連の条例の制定が必要である。また、町内会の方でも、この情報をもらうことでかえってトラブルになるようであると困るという受け止めもある。

(金井)条例制定は望ましいが、リスクとして情報の活用、メンテナンスの問題がある。誰がどこにいてどのような支援を必要としているのか、ということは知らなければならない。このために情報の共有は必要である。

孤独な高齢者を支えるための三か条。

1.民生委員だけに任せない

2.必要な情報は共有を

3.あいさつ 立ち話も役に立つ→「気づく力」になる