追跡!A to Z「“心の病”の薬に何が~向精神薬 乱用の実態~」

向精神薬は、うつ病や不眠などの治療に利用されているが、医師の処方が必要である。しかし、実際には密売されており、北海道では密売していた女が逮捕された。

向精神薬は、病院では多くの場合一度に一ヶ月分が処方される。女はさまざまな病院を回って向精神薬の処方を受け、これをネットで密売して、数百万円を稼いでいた。

向精神薬を使う人々は、落ち着きたい、興奮したい、薬を飲んで音楽を聴きたい、などの理由でネットで密売する薬を購入する。

薬物依存者は増加している。意識がなくなり救急車で運ばれるなどの経験を持つ人もいる。しかし、薬から逃れられない。家族との生活を失った人もいる。子育てに悩んで睡眠薬精神安定剤を飲みはじめた女性、240錠くらい飲んでおかしくなってしまった。日常生活が破綻してしまい、自殺未遂を繰り返し、子どもも施設に預けることになった。

向精神薬を医師が処方しすぎるという問題点もある。一度に16種類も処方(ハルシオンマイスリーなど)された患者もある。薬だけ下さいという患者もいる、医師からするとお得意様で、5分ほどの短時間診察で薬だけ出してしまう。収益第一の視点で処方している実態がある。

向精神薬は路上でも売買されている。繁華街の裏通りで露店で分からないように販売している。ハルシオンが1,000円で、その他の薬も置いてある。これは医療費が無料の生活保護受給者から買い取って販売している。生活保護受給者をたくさん集めて大きなビジネスとして密売を行っていた暴力団関係者もいた。1回に数百万円儲けていた。精神的に病んでいるように見せる演技指導までしていた。覚せい剤とは違い、合法的な薬であるため、まったくリスクがないという。

厚生労働省では、密売と依存に対して、根が深い問題であり、何かひとつの対策で対応できる問題ではないと考えている。処方さえきちんとしていればと考えられるけれども、向精神薬は患者にとって重要な薬でもあり、対策を検討し始めた。薬剤師にもかかわってもらい、薬の適正な処方を検討したいとのことであった。

日常の生活の悩みで向精神薬を使うということは、誰でもが陥るかもしれないということであり、他人事ではないといえる。