クローズアップ現代「課長!イキイキ働いてますか」

昭和の時代は、「課長」は目標であり光り輝く存在だった。しかし、平成に入ると、組織のフラット化などを受けて「課長不要論」なども喧伝されたりした。

とはいえ、現在はやはり経営と現場をつなぐ存在として課長は必要とされているばかりでなく、その責任は重くなる一方である。課長になり、売り上げが伸びないという問題に直面して本を読んでヒントを得たり、また、部下からの厳しい言葉に直面したりしている。課長は経営と現場をつなぐ存在であり、小さな組織のリーダーでもある。

現代の課長は、管理業務増大、プレイングマネージャ化、目標管理、非正規社員の増大、年功序列の崩壊などさまざまな環境の変化の中で重責を負っている。

例えば、新人が些細なことで何でも聞いてくる。どこまで事細かにやればいいのか。

書店には課長の心得に関する本がずらりと並んでいる。

ミーティングでは部下のモチベーションが低くならないよう言葉を選びながら指導するが、上司からは厳しい言葉が飛んでくる。

今まではみんなと立場が同じであり一緒に考えて対応していたが、課長になってみると、上司の意向を伝えなければならない。

早朝一番に出社し、ファックスを配ったり、営業にすぐに出られるよう準備してあげたりしている。毎朝6時40分に上司に報告している。強くやらないと部下はついてこない、と上司からは言われる。

東京大学准教授 中原淳)課長になったからといって手放しでは喜べない。今、課長にスポットが当たっているのは、欧米では業務の内容が変わればそれに最適な人材を投入するが、日本ではそれほどの流動性はなく「今いる人」に対応してもらうことが必要であり、そこを司るマネージャである課長の力量が必要なのである。

(中原)課長不要論・組織のフラット化がいわれたときもあったが、トップとボトムをつなぎ、自分なりに上司の指示を咀嚼して伝えることが必要である。しかし、組織のスリム化の中で課長自身もプレイングマネージャとして仕事を持つなど業務量が大きくなってきている。

損保ジャパンでは一人の課長を部下全員が評価する仕組みを設けている。グローバル職、エリア職、嘱託職員など部下は多様である。職種も働き方もさまざまである。経営理念やコンプライアンス、人材育成や組織風土などさまざまな面で評価を受けている。ギャップを認識することが課長を成長させる。

(畠山)これから何をヒントにすればよいのか。

(中原)マネージャとしての取り組みを、折に触れて振り返ることが必要である。この仕組みは部下からきついことも言われるということになるが、人格の否定ではなくマネジメント力の評価でなければならない。また、課長自身も、感性で部下がやってくれるだろう、ということは通用しない、きちんと説明できなければならない。

(畠山)課長が生き生き働くためにはどうすればよいのか。

(中原)すべての問題解決を課長に任せる傾向にある。課長を支援し、語り合う場を設けたりカウンセリングするなど、処遇も含めて魅力的な職にすることが必要である。