財政学( 10)第7回「税の帰着と負担」◇佐藤 主光

財政学 (放送大学教材)

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・税金の経済効果は、公共サービスや所得再分配にとどまらない。税制により工場立地などの経済活動にも影響がある。

・贅沢品への物品税は、金持ちへの課税になるので公平ではないかという見方があるが、単純に金持ちへの課税になるばかりではなく、その購入行動への影響をふまえ一般均衡分析を行うと、工場における一般労働者の雇用・賃金に影響を与えるということがある。一見公平に見える高所得者への課税は一般労働者に及ぶということである。

社会保険料は労使で折半される。このとき、雇用主は賃金+社会保険料を支払い、労働者は賃金ー社会保険料を受け取る。このため、労働供給と労働需要の均衡点は左にスライドする。またこれは雇用主の負担割合を増やしても変わらないということがある。これは一般的な印象とは異なるものである。

・税制上、消費税は間接税に分けられる。以前の日本は直接税依存型であったが、現在は間接税に着目されている。

所得税を上げることと、消費税を上げることについては異なった印象を持つかもしれないが、家計の予算制約式に基づいてみると、じつは双方は家計の選択に同じ影響しか与えない。

・消費税の増税は家計を冷えこませるという説があるが、所得効果という点で見ると増税前も後も変わらないということがわかる。