プロフェッショナル 仕事の流儀「世界のプリマ 最後の闘いの日々~吉田都~」

・ 今年(平成22年)、ロイヤルバレエ団を4月23日の「シンデレラ」(ロンドン)と6月29日「ロメオとジュリエット」(東京)の舞台を最後に去ることになった。

・ 90分の練習が終わると全身を氷で冷やしている。腰やひざに爆弾を抱えている。また股関節にも違和感を感じている。本番で最高の踊りを見せるためには練習で追い込まなければならないがかえって身体を悪くしかねない。

ピラティスインナーマッスルを鍛えてきた。またハードな筋力トレーニングも行っている。トゥシューズも自分で加工している。

・ 本番は練習とは違う。本番で100%を出すには練習で120%やらなければならない。

・ 日本を離れて27年間、葛藤の日々だった。劣等感との戦い。バレエ学校ではクラスでたった一人の東洋人だった。練習に没頭することでそうしたことを忘れようとする。そうした努力が実り、29歳でロイヤルバレエ団では東洋人で初めてのプリンシパルとなる。しかしバレエ団の仲間はどんどん追い付き、追い越そうとしてくる。

・ 最近アグレッシブな気持ちが消えた。それはもう続けていけないということなのだと思った。最後は一つひとつのステップを含めて舞台を楽しみたい。

・ ピーター・ライトからは、「ロメオとジュリエット」の練習を見て、技術的には完璧だが振付師はもっと情熱的に踊ることを描いていたのではないか、今の踊りはロマンチックすぎるとの厳しい意見があった。

・ 本来は本番直前は軽い調整で済ませるところだが、最後まで練習漬けの毎日で、表現を磨き続ける。

・ 情熱と誇りで自分のやるべきことをできるのがプロフェッショナルだと思う。