クローズアップ現代「生物多様性がビジネスを変える」

・ 年間4万種の生き物が人間活動により絶滅に追い込まれている。

・ 持続可能な形での原材料の調達を行っていない企業に対する批判が高まっている。値段は少し高くとも生物多様性に配慮した商品をつくるべきだという消費者の声が高まっている。

・ 今年3月環境保護団体のグリーンピースキットカットNestle製)が森林を破滅に追いやっており、オランウータンの絶滅につながるおそれがあるというキャンペーンを行った。このチョコレートの製造過程では、油やしから作るパーム油を利用しているのである。この企業では、消費者からの批判が相次ぎ、調達先を見直すこととなった。

・ また年間10億台作られている携帯電話、これがアフリカのゴリラを脅かしている。タンタルというレアメタル(コンゴ産)のため熱帯雨林が伐採されているのである。

生物多様性に対する配慮があるかどうかが企業の評価基準の一つとなりつつある。

・ しかし、これまでの調達先を変えるにあたってはコストがかかる。住宅メーカーが、建材の調達先をインドネシアからオーストラリアに変える、廃材を利用するなどの取り組みもある。

・ (環境コンサルタント足立直樹)鉱物資源は使ってしまうとなくなってしまうが、生物資源は再生可能である。ただしこれは、守りながら使う必要がある。アメリカでは調達先の開示義務まで法制度化されようとしている。また、MSC認証という、木製品や水産品の認証マークもある。しかし、環境に配慮するほど価格面での競争力が弱まってしまい苦慮している現状もある。

・ オフセットという、「保護を行う義務」について取引を行うことにより報酬を得る制度がある。これを広めようというベンチャー企業がオーストラリアからマレーシアにかけて活動領域を広げている。しかし、日本ではオフセットは企業活動に対する制約になると反対する声も大きい。

・ 日本では、樹木を多くして却って生物多様性を失っているケースがあった。アークヒルズではメタセコイアなど外来の樹木を導入して緑地面積を広げたが在来種が住みにくくなった。

・ (国谷)生物多様性を数値化するのは困難だが、これを行い、必要に応じオフセットするということか。

・ (足立)そうした企業は地域住民からの評価が高くなるし、結果として企業活動もスピーディに行われることになる。

・ (国谷)企業は、生物多様性への配慮を新たなコストやリスクと考えているようだが。

・ (足立)これは投資であると考えるべきだと思う。しかし、まだまだ自分たちの調達先すらよく知っていない企業が多数である。