一週間de資本論 <全4回> 第3回「恐慌のメカニズム」
- 作者: 的場昭弘
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2010/10/22
- メディア: 単行本
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・ 資本論には恐慌という章はない。むしろ全編にわたって恐慌を語っているともいえる。
・ 1-4-13「機械装置と大工場」利潤は機械化に利用され、機械化されると労働者は不要になり、商品を買うことができなくなる。これがマルクスの考えた恐慌のメカニズムのひとつである。
・ 3-15-1利潤率が低落すると、投資をしても儲からなくなる。過剰人口=失業者が増える。19世紀の恐慌は、景気が悪いと賃金の安い労働者を雇用するが、売り上げが大きくなると機械化の過程で賃金の高い労働者は解雇される、この繰り返しであった。G-W-G‘ではなくG-G’という呪術的な過程が形成される。
・ 株式は一度投資したら、株券自体が上がっていくがこれは株を買いたいもの同士がやり取りをしているだけである。これをFiktivといっている。
・ マルクス以降は周期的な10年単位の恐慌はなくなり、恐慌はあるとき急に起こるようになる。独占により恐慌は起きにくくなったが、それは周期的な恐慌をなくした反面、大きな恐慌を生むこととなった。
・ 現代的な金融危機は、19世紀の危機とは性質が異なる。空資本がどんどん空になっていっている。マルクスの金本位はある種経済の規模に制限を与えていた。これに変わる管理通貨制はケインズによって提唱された。
・ (浜矩子)恐慌を止めるために財政政策を行ってきたが、逆に今は財政がおかしくなり、財政破綻が恐慌の原因になるのではないかと考えられる。財政・金融という景気のレスキュー隊がレスキューを必要としている。
・ 世界銀行、IMFは税金をバックにおいていない。この一方で資本は世界をめぐっている。
・ 世界中で超低金利となっている。もう利潤は生み出せないのではないかと考えられている。
・ (浜)高度成長の夢をもう一度と言われているがそんなことはできないと考えるべきだろう。逆に成熟戦略が必要。みんなで小さいパイをどうシェアするのかということである。
・ マルクスの「労働者」は現在の「市民」として考えるべきではないか。
■コメント
この回はとくに後半の利子生み資本に関する部分が良かった。