宝塚雪組『ソロモンの指輪/マリポーサの花』東京宝塚劇場

初めて宝塚公演をみた。劇場は間口は広いが高さがそれほどなく、歌舞伎舞台と少々似た構造だった。花道が両脇についていて、花道でも演技が披露される。手前に本当に小さなオーケストラピットがあり、ピットの前には「銀橋」と言われる、スターだけが通ることのできる道がしつらえられている。

印象としては、大勢の「生徒」が舞台を埋め尽くしているといった感じで、きらびやかな服を着て舞い踊る。ストーリーの展開も早く見飽きさせない。もう100年近い歴史を持つというのもうなずけた。要素としては、歌劇、舞踊・バレエ、演劇、レビューなどさまざまなものをつなぎ合わせて独特の味付けを行ったという感じである。その表現はモダンであり、なんとはなしに関西風でもある。舞台装置は、いわゆる伝統芸能に比べると派手ではあるが簡素に見える。セリや回り舞台を効果的に使うところが持ち味のようだ。

歌では特に男役に独特の発声法がある。肉声なのかマイクなのかちょっとよく分からなかったけれど、なんとなくマイクに聴こえるところもあった。

オーケストラは、指揮者のタクトしか見えなかったが、狭い場所でおそらくかなり小規模のものと思われる。オペラやバレエのそれとは異なり、簡素でピアノや効果音のようなものも使っており、飽くまでもBGMという位置づけか。銀橋が使われるときなど、指揮者はスターの足の下になってしまい、かわいそうな形ではある。

ミュージカルではセリフが多く、覚えるのにひと苦労だろうと思われた。とくにセリフの多いトップスターは相当期間の練習がないと難しいだろう。『マリポーサの花』は具体的な名前こそ出されなかったが、キューバを舞台とし、革命に立ち上がる元軍人や若者たちを題材としたミュージカルだった。マリポーサはキューバの国花とのこと。登場するスターたちの浮世離れしたカッコ良さや華やかさが目立つ構成だった。

全体を通して見て、一番見事に決まっていたのが最後のフィナーレだった。階段を効果的に活用し、豪華な羽で飾った衣装で踊りながら降りてくる。

演劇の方はまだこの一作を見ただけなので何とも言えないが、レビューの楽しさはさすがと思われた。

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