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「近代を超越して新たな世界史を描く」(UTokyo OpenCourseWare 学術俯瞰講義)【「世界史」の世界史 第5回】東京大学文学部東洋史学研究室 島田 竜登

■内容

1.歴史学の手法としての関係史

  • 「比較」と「連関」は、グローバルに物を考えようとするときの代表的な手法である。今回の講義では「連関」を中心に考える。
  • 地域間、国家間などでお互いにどう影響し合ってきたのかということを考える。制度、軍事、経済、技術、宗教、文化、社会、芸術などがポイントとなる。
  • しかし、二地域間であればまだ単純だが、さらに多くの地域の連関を見ようとするのは困難である。(星型モデル、関係性が複雑化する。)
  • ウォーラーステインは一つの事例。中核(オランダ→イギリス→アメリカ)、半周縁(スペイン、ポルトガル)、周縁(東ヨーロッパ、新大陸)の三層構造で捉える。そのほか外部世界(日本など)がある。中核→半周縁→周縁が一つの経済域として完結し、そしてそれが拡張していき、外部世界を取り込んでいくという見方。
  • これについて、フランクは西洋中心主義として批判し、アジアを中心としてとらえる世界観を示した(1998年)。豊かなアジアに新規参入者として一時的にヨーロッパが現れたと説明する。
  • 関係史には、双方向性を描き出せるか、また多角的関係を描き出せるかという課題がある。例えば「自由」の概念、これはヨーロッパ固有のものとされているが、アジアにもあったのではないか、そしてヨーロッパに影響を与えていなかったのか。また、検討すべき対象が複雑であるため焦点を絞ってしまいがちとなる。

2.グローバル・ヒストリーとは?

  • 水島司はグローバル・ヒストリーという切り口を提示している。平面上ではなく、球状であることを意識した研究スタイルをとっている。
  • 一つ目は、比較的長期を対象として研究するもの。例えば、ジャガイモの伝播(オランダ植民地であるジャカルタから伝わったジャガタライモ、簡単に栽培でき、人口維持能力を持つ。)、銀の国際的流通(日本、チリから各国へ貨幣として流れていき、経済を発展させた。)など。
  • 二つ目は、気候変動などまさにマクロで球状の地球をとらえるもの。
  • 三つ目は、西洋文明や資本主義の伝播などグローバライゼーションをとらえようとするもの。これが一番多い。

3.最後のまとめ

  • 歴史学はまず史料分析から始まる。理論ありきではない。逆にフレームワークを作った時点で結論が決まってしまうことがあるので注意しなければならない。
  • 一方では、何のために研究しているのか、という視点がないと史料は何も語らない。
  • グローバル・ヒストリーはどこまで有用性があるのか、まだ未知数である。

■感想

  • ズームインするとでこぼこして見えるものが、ズームアウトすると平たんにみえるものだが、そうしたことが比較史においてもあるのかも知れない。要は、当然のことながらどこに視座を置くかによって見え方が違ってくるわけで、自分がどこまでズームイン、ズームアウトしているのか、するべきかということを知る必要がある。
  • グローバル・ヒストリーの有効性ということでは、この講義を聴いた印象としては、対象が限られているようにも思われた。ズームアウトしすぎて、地球上に大河や山脈しか見えなくなる、というイメージ。

■講義動画

近代を超越して新たな世界史を描く Describing a World History that Transcends the Modern Era | UTokyo OpenCourseWare

■参考文献

グローバル・ヒストリー入門 (世界史リブレット)

グローバル・ヒストリー入門 (世界史リブレット)