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映画『晩春』監督:小津安二郎、1949年

鎌倉で、父と娘だけのおだやかなふたり暮らしを楽しんでいる周吉(笠智衆)と紀子(原節子)だが、姉妹はみな嫁に行き、本人の気持ちをよそに周りは紀子の嫁入りを急き立てる。しかし紀子は父が好きで、父と暮らし、その世話をずっとしていきたいと思っており、嫁に行く気はない。父の周吉は、そんな紀子を見かねてある一計を案じるのだった。

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■感想(個人的評価:★★★★-)

伸びやかに、そして優しく育った紀子が、結婚を控えた父との最後の旅行で、父に対する思いを訴えますが、そんな娘に対し、幸せは夫と二人でじっくりと作っていくものだと諭す周吉の姿が印象に残ります。結婚し、新しい生活を始める女性とその父親の思いを描くのはありふれたテーマかも知れません。しかし、この作品では、娘にとっての新しい人生の出発は、父親にとってうれしいことでありながら、反面言いようのない寂しさをもった別離でもあるということを、改めてじわりと感じさせてくれます。