バレエ『新春特別バレエ』キエフ・バレエ、ゆうぽうとホール

キエフ・バレエ、日本でも特に公演の機会の多い海外バレエ団で、今年も12月から1月中旬までのロングランで日本公演を行っています。キエフ・バレエというのは通称で、正式には、タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエという名称とのことです。

f:id:alpha_c:20140103234603j:image

今日の演目は『新春特別バレエ』ということで、チャイコフスキーの三大バレエのハイライトを上演するものでした。

このバレエ団で知っていたバレリーナはエレーナ・フィリピエワだけでしたが、やはりボリショイ・バレエマリインスキー・バレエのようなロシア(正確にはウクライナか・・・)のバレエ団ということで、と大いに期待して行ってきました。

会場は五反田のゆうぽうとホール、お正月ではありましたが、ほぼ満席だったのではないでしょうか。将来のバレリーナ?子ども連れの方も多かったようです。オーケストラも入って本格的な仕様のバレエです。

第1部、くるみ割り人形は第二幕からの抜粋でした。キャラクターダンスから花のワルツ、そしてクララ(オリガ・ゴリッツァ)と王子(ヤン・ヴァーニャ)のグランパドドゥへという流れでした。東洋の踊り(アラビアの踊り、アナスタシア・シェフチェンコ)の妖しさが少し目を引きました。ロシアの踊り(トレパーク)が、女性の衣装、これでいいのかしら(丸見え?)と思いましたが、いいようです・・・。そして待ってましたグランパドドゥ、きれいに踊っていましたが、振付の難易度を落としているようにも見えました。

第2部は白鳥の湖です。これも第二幕(あるいは第一幕第二場)からの抜粋ですね。これは、まずロットバルトにがっかりです。美しい男性ダンサーが踊っていますが、あのロットバルトの邪悪さが全然表現できていません。振付どおり踊っています・・・という感じでした。それからコールドの踊りが寂しかったですね。やっぱりコールドはとても重要なのだという再認識をしました。主役オデット(ナタリア・マツァーク)については、くるみ割りと同じく振付の難易度を落としているのかしらと思われました。

第3部は眠りの森の美女でした。これは、第三幕の結婚式の部分を抜粋したものです。幕が開いて、一番「らしい」かも知れない、と期待しました。結果としてこれが一番良かったのではとも思います。よかったところは、青い鳥の男性ダンサー(デニス・ニェダク)がゆったりと踊っていたのと、デジレ王子(ヤン・ヴァーニャ)が美しかったことでしょうか。リラの精(カテリーナ・カザチェンコ)も身体が大きいですがきれいに踊っていました。フィリピエワは最後のグランパドドゥにのみ登場ですが、うーん、これまでのダンサーに比べてやはり上手です。足先の運びが美しかったです。

さて、全部通してみての感想は、なぜか、ロシアらしさというものをあまり感じられませんでした。たしかに肢体の優美さをもっているダンサーも見受けられましたが、ダンス技術がまだ追いついていないようです。とりわけ、ソリストとコールドの差が大きく、またソリストでさえあまり「らしさ」を感じられませんでした。これは、抜粋という形式によるものかもしれませんが、まず一人の人がいろんな役をこなし過ぎていますし、日程も過密です、そんなことも影響しているのではないでしょうか。