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映画『レ・ミゼラブル』原作:ヴィクトル・ユゴー、監督:トム・フーパー、2012年

f:id:alpha_c:20121226234151j:image:left名作ミュージカルを映画化したものだが、結果としては心を深く打つ作品に仕上がっていた。3時間近い大作だが、まったく時間を感じさせないような展開で、映像のみならず歌の水準も高い。

俳優たちは演じつつ歌手として歌うわけだが、声量こそ劣るものの艶のある歌声で、ミュージカルとしての聴きどころもしっかりとこなしていた。出演者の一部はプロの歌手でもあり逆に少しバランスを取るために抑え目に歌っていたかもしれないが、しかしそんなことは気になるほどでもなかった。

この作品は怨嗟、怨念に満ちた人の心が背景にある。ジャン・バルジャンヒュー・ジャックマン)は、たった一つのパンを盗んだ罪で19年も牢獄につながれる身にある。ファンティーヌ(アン・ハサウェイ)は、愛する娘コゼット(アマンダ・セイフリッド)と安らかに暮らしたいと思いながら、毎日の生活の資を欠く状態にある。また、マリウス・ポンメルシー(エディ・レッドメイン)は、抑圧された人々の生活をつぶさに見、そうした人々を作り出す社会に反発を感じている。

そうした感情を共有する者同士の結びつきが社会を変える大きな力を構成していくわけだが、これに立ちはだかるのがジャベール(ラッセル・クロウ)だ。彼は、あくまでも法を正義として考え、それを拠り所に抑圧された人々をさらに追い込む存在である。

しかし、ジャン・バルジャンはそんな彼をも赦し、そして、娘として育てたコゼットが初めて愛した男性であるマリウスを陥落するバリケードから必死の思いで救いだす。クライマックスに近づくにつれ、怨嗟や怨念が、愛による結びつきへと変わっていく過程がこの作品の魅力でもある。

ともかく是非見てほしい、見逃せない作品だ。