映画『猿の惑星』監督:フランクリン・J・シャフナー、原作:ピエール・ブール、1968年

地球から宇宙ロケットで320光年をかけてオリオン座近辺の惑星にたどり着いた3人の宇宙飛行士だったが、その惑星では「猿に人間が支配される」という地球とはまったくかけ離れた世界となっていた。猿たちは言葉を話し、衣服を着、武器を操り、あたかも人類のような社会を形作っている。一方、その惑星の人間は原始生活そのままのスタイルで言語を使うこともできず、猿たちの支配下に置かれている。そして3人の宇宙飛行士たちもそれぞれ猿に捕らえられてしまう。

飛行士の一人テイラーチャールトン・ヘストン)は、捕らえられて後、猿の研究者であるジーラ(キム・ハンター)と言葉をやり取りすることに成功する。この猿の世界では、人間は下等動物であり、信じられている進化論においても未発達のまま現在に至っているというのが定説であった。しかしこのテイラーの存在は、これを覆す発見になるのではないかとジーラは考え、テイラーを守ろうとする。

しかし、この猿の社会で高い地位にあるゼイウス博士はジーラの訴えを認めようとしない。その様子を見てテイラーは、自分がこの猿の世界で抹殺されるのを避けるため牢獄から女と連れだって逃亡を図るが、その逃亡のすえ立ち入りを禁じられた区域に入ると、そこには人類の過去の生活の痕跡があった。

最初、宇宙船の航行シーンから惑星の湖に着水し、乾燥した大地を分け入っていく描写がいい。本当に生物も何もない状態の惑星での行動をうまく表現している。ただ、人間に遭遇し、そして猿たちにとらえられてからの部分は、正直なところあまりにも地球的で興味を削がれるところでもあった。

f:id:alpha_c:20121016212048j:image:left最後の自由の女神のシーンでは、数百光年旅をして辿り着いた惑星が地球の数千年後であり、しかも人類の知恵はきわめて愚かなこと(自分たちの存在自体を滅ぼしてしまう)に結び付いたことが分かる。未来へと旅をしているはずが実は遠い過去へと戻ってしまうことを知る恐ろしいシーンだった。