『柳亭市馬独演会』市川市文化会館

f:id:alpha_c:20121014102554j:image:left市川市文化会館の小ホールで行われた柳亭市馬さんの独演会(前座、色物(太神楽)あり)。金曜日の夜であったがベテラン世代のお客さんでほぼ満席だった。

ロビーでは、歌の上手な市馬さん、春日八郎の歌謡曲CDを出しているようで、この販売もされていた。


さて、まずは秋の噺らしく「目黒のさんま」、相変わらず声の張りで聴かせてくれる。江戸時代は殿様も家来も厳しい戦場とは無縁で、この落語そのものがよくそれを表している。ちいちいぷうぷういいながら焼き上がったさんまの香ばしい姿がありありと目に浮かぶようだ。

続いては、盗人が入った家で女にほだされてお金を巻き上げられてしまう「転宅」。翌日女の家を訪れた盗人が自分が騙されたことを面白おかしく聞かされ、がっかりしながらも感情を表に出せないところが笑いを誘う。

中入り後は、碁仲間の大旦那が仲違いしてそしてもとのさやに収まる「笠碁」。仲違いしたあとのお互いの述懐がシーンと聴かせる。落語はおおむね、ささいな、つまらないことがテーマだけれど、そのつまらないことが人にとっては大事なことなのだと思わせてくれる。