映画『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』監督:ガイ・リッチー、原作:コナン・ドイル、2011年

時は1891年、ヨーロッパではフランスとドイツとの対立が先鋭化しており、いつ戦争が起きても不思議ではない状況にあった。こうした状況下で各地で過激派による爆弾テロ事件が相次いでいた。

シャーロック・ホームズロバート・ダウニー・Jr)は、密かに両国の戦争を引き起こすことを企んでいる首謀者がケンブリッジ大学天文学の教授ジェームズ・モリアーティ(ジャレッド・ハリス)であることを突き止め、ワトソン(ジュード・ロウ)とともにその阻止を図る。しかし、パリでは独仏の交易の発展を目的とした会議に仕掛けられた爆破事件を止めることができなかった。ホームズは、次の爆破事件の対象として、スイスで行われるヨーロッパの首脳会議を狙っていることを知り、これを阻止するためにワトソンとともに乗り込んでいく。

f:id:alpha_c:20121008224538j:image:leftこの映画は、19世紀のヨーロッパ、ヴィクトリア朝のイギリスやベル・エポックのパリの重厚な雰囲気を舞台装置としている。また、撮影ではスローモーションを効果的に使ったスピード感の表現など、さまざまな技法をこらしている。

シャーロック・ホームズでこのような国際紛争に関連するようなテーマを扱った作品があったか記憶にないが、これまで自分の持っていた概念を超えるようなホームズの活躍ぶりだったと思う。アクションシーンが多過ぎるような気もしたが、最後の教授との対決をチェスの進行に合わせて話を運ぶところなど、知性的な「ホームズらしさ」の演出も楽しむことができた。