映画『ヒューゴの不思議な発明』監督:マーティン・スコセッシ、脚本:ジョン・ローガン、2011年

f:id:alpha_c:20120917235121j:image:leftヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は両親を早くに亡くし、パリのリヨン駅舎内の時計塔で半ば強制的に時計を動かす作業をさせられながら一人で暮らしている。彼の手元には、愛していた父が遺した機械仕掛けの人形がある。

この人形は部品が欠けていて動かすことができず、ヒューゴは同じ駅舎内でおもちゃ修理業の老人(ベン・キングズレー)から歯車などのパーツを盗み、少しずつ完成に近づけている。

ところがある夜、ヒューゴはパーツを盗もうとしてこの老人に捕まってしまう。鉄道公安官に引き渡されはしなかったが、大事な機械仕掛け人形の設計ノートを取り上げられてしまう。

老人のもとで暮らすイザベル(クロエ・グレース・モレッツ)は、やはりヒューゴと同じように両親を亡くしていた。彼女は、設計書を返してほしいと突然訪れたヒューゴに興味と親しみを持ち、冒険をしてみたいと打ち明ける。イザベルはヒューゴに連れられ、映画館に忍び込むなどの冒険を体験する。

f:id:alpha_c:20120917235122j:image:leftあるときイザベルはヒューゴに連れられ時計塔内の機械人形を見せてもらう。ところが彼女が首からぶら下げたネックレスのハート型の鍵を差し込むと今まで壊れて動かなかった機械人形が動き始め、ペンを動かしながら謎の絵を描いたのだった。

その絵を見て、父親の伝えたかったことを何かを知りたいと思い、ヒューゴは改めて老人の家に出向くが、その絵を見た妻は驚き、彼を追い返そうとする。実は、老人にはかつて栄光の映画製作を行っていた時代があり、この絵はその時期の仕事に大いに関係のあるものだった。

f:id:alpha_c:20120917235123j:image:left何色といったらいいのか、緑がかったブルーがこの映画を彩っている。そしてヒューゴの寂しさやひたむきさがよく伝わってくる映画だった。また、歯車で形作られる機械仕掛けも郷愁と興味を抱かせるものだった。最後の月世界旅行につながっていくエピソードは映画前半のスケール感からすると、やや先細ってしまうとともに子供の手から大人の手に受け渡されてしまった印象だったが、舞台装置、情景描写や人間描写ともに見事だった。