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「バレエ・ダンサー首藤康之さんが語る『牧神の午後』」日本経済新聞社 東京本社ビル2F 「SPACE NIO」(スペース ニオ)

f:id:alpha_c:20120915230859j:image:leftドビュッシー『牧神の午後』は自分自身も踊ったベジャール振付による作品であるが、ニューヨークにいた時分(まだ小学生だった)にニジンスキーの写真を見たことが自分にとってその後関心を持ち続ける発端となった。

この写真は、身体をねじり、線をずらすことにより立体性を強調する効果(エポールマン)を活かしており、見る者にとっては想像力をかき立てられる。

この「ずらし」こそはバレエの基本ポジションであり、身体を外旋させるアンドゥオールにも結び付いている。

外旋させた状態は無理のある姿勢に見えるかもしれないが、実は動きを始めるときに自然に身体が無理なく動かすことができる。

エポールマンの効果を活用した例としては、古典のミケランジェロの彫刻やダヴィンチの絵にも見られる。

バレエでも古典作品は顔や指先など身体の部分に目がいってしまいがちだが、ベジャールの作品では身体の全部を使って表現している。

また、古典作品は基本に忠実がもとめられ、踊り手の個性を発揮するのは難しいが、ベジャール作品はむしろダンサーの個性をどう発揮するかが鍵を握っている。

ベジャール作品は、公開されたときはセンセーションを巻き起こしたが、ペトルーシュカの指揮を行ったズービン・メータは、ベジャール作品をとても高く評価していた。

今回、ドビュッシーの『牧神の午後』をテーマとしてお話ししたが、美術作品と自分の作品には共通性があるということは自分にとって大きな発見だった。

■感想

バレエのコンテンポラリー作品は、たしかに全身を使い、とくに自由奔放な上半身の動きを特徴としている。

この自由奔放さが自分にとっては馴染めないところだが、ベジャール作品としては、『ボレロ』『春の祭典』などエモーショナルな表現に共感できるものもある。

f:id:alpha_c:20120915230858j:image:left首藤さんの語り口は優しくまた明確なもので、舞踊から受けるイメージとは異なり、折り目正しい青年という印象だった。