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『TOKYO JAZZ FESTIVAL 2012』東京国際フォーラム

f:id:alpha_c:20120909213838j:image:leftまだまだ夏の暑熱が頑固に続くこの日、多くのジャズアーティストを迎え、今年で11回目を迎える国内最大級のこのジャズフェスティバル(9月7日(金)~9日(日))が開催された。

f:id:alpha_c:20120909213837j:image:leftまずはピアニストの小曽根真とエリス・マルサリス、そしてベースのクリスチャン・マクブライド、ドラムスのジェフ“テイン”ワッツによる演奏から静かに始まった。小曽根真さんはエリスとはニュー・オーリンズで、そしてクリスチャン、ジェフとはニューヨークでそれぞれレコーディングをしており、今回は小曽根さんが中心となってのカルテットでの演奏だった。

大会場なのでPAを使っての演奏は仕方なかったが(前から三列目だったけれど、音は舞台上手に据え付けられたスピーカーから聴こえてくるようだった。)、レコーディングツアーに同行した篠山紀信さんの写真をスクリーンに投影しながらの演奏で、現地の空気を運んでくるようだった。紹介によればクリスチャン・マクブライドは「Good Feeling」というアルバムでグラミー賞の部門賞を受賞したとのことだった。エリス・マルサリスも高齢ながらリズムに乗った存在感のある演奏を見せてくれた。またドラムスのジェフ“テイン”ワッツの並外れたテクニックも十分に堪能できた。

f:id:alpha_c:20120909213836j:image:left続いて登場したのは、ニュー・オーリンズジョー・サンプルクレオールジョー・バンド、これは年代・人種もさまざま、ファニーなグループだ。(名前が内山田洋とクール・ファイブっぽい?)

熱帯夜にぴったりのちょっと懐メロのような楽曲で、さきほどの小曽根さんのカルテットとは違ってエレキギターやキーボードが多く使われている。(このギタリストの一人が日本人だったのだが、谷啓に似ているな、日系○世かな、陽気な遊び人のおじさん風だな、と思いながら見ていたが、じつは有名な奏者のようだ。)この演奏は、毛色が全然違うのだけれどPAを使ったコンサートにはかえってふさわしかった。ボーカルは黒人女性で声量があって迫力があった。また、首から金属製の洗濯板のようなものをひっかいて音を出す楽器をかき鳴らすちょっとひょうきんな奏者もいて、珍しくも面白かった。このグループでもっとも「聴かせた」のはアコーディオンの演奏で、肩の力を抜いて素直に楽しめた。

今日の最後は、当初のプログラムではオーネット・コールマンの演奏が予定されていたが、体調不良により急きょ小曽根さんを中心にこれまでの出演者による混成の演奏となった。ここには、日本人のトロンボーン奏者も参加し、なかなかソロでは聴けないトロンボーンをたっぷり聴かせてもらった。

f:id:alpha_c:20120909213835j:image:leftその後、アカペラグループTAKE6がフェスティバルらしく飛び入りで参加したが、これは低音から高音までハーモニーが実に見事に噛み合っていて、とくに低音部の「ボン、ボン」という響きはなかなか耳から離れないくらいだった。高音部もよくあれだけの大きな男性からこれほど高い音域がと驚くものだった。

最後は、ほとんど本日のオールスターによる演奏で、マクブライドはベースをギターに、また小曽根さんはピアノから大きく古めかしい木製のハモンドオルガンに変え、客席をリズムに乗せた大きなフィナーレとなった。ここにはオランダのトランペッターやサックス奏者も参加して、それぞれソロの持ち場をたっぷりと聴かせてくれた。

演奏が終わっても会場立ち上がっての拍手鳴りやまず、アンコールにこたえた小曽根さんが最後に現代的なピアノ曲を聴かせてくれた。今日の演奏ではどちらかというと小曽根さんはリード役、引き立て役に回るとともに自身の弾く楽曲は軽やかな曲調が多かったが、このアンコール曲は現代的かつ重々しい主題によるもので、一転して深く静寂な世界を味わうことができた。