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映画『コクリコ坂から』企画・脚本:宮崎駿、監督:宮崎吾郎、2011年

f:id:alpha_c:20120722091428j:image:left松崎海(愛称メル)は、横浜に近く海に臨む町の高台にある「コクリコ荘」に暮らし、地元の港南学園に通う高校二年生だが、船員であった父を朝鮮戦争時の機雷事故により亡くし、大学教師である母とも離ればなれの生活を送っている。

「コクリコ荘」は昔、医師である彼女の祖父が営んでいた診療所をアパートとして改装した建物で、住人はすべて女性で、彼女は住人の食事の支度を担当している。

f:id:alpha_c:20120722091429j:image:left港南学園には「カルチェ・ラタン」という文化系の部活動の拠点となっている旧い建物があるが、校内はその建て替え問題で揺れていた。味わいのある建築だが、汚れて半ば魔窟と化しており、生徒の大半も建て替えを支持する立場に回っていた。

この建物で新聞部に在籍し、試験のヤマ張りで生徒にも支持を得ている風間俊は、建て替えに反対する立場で活動を行っている。メルは、ガリ版刷りのガリ切りなどで協力するうちに俊に惹かれるようになり、「カルチェ・ラタン」の大掃除に率先して挑む。そうして建物の保存に賛成する生徒を増やすとともに、最後には建て替えの方針を掲げている学園の理事長に直談判するため生徒会長と三人で東京を訪れる。

f:id:alpha_c:20120722091430j:image:leftこの映画が時代背景としている昭和30年代後半、東京オリンピックを迎えようとしている街の描写が美しい。小さな商店での買い物のやり取りなど、当時の心通う関係が表現されており、深い夕暮れどきの空のいろなど取り巻く風景もこのストーリーを効果的に際立たせてくれる。

自分自身も高校の時に、文化系の部活動の拠点として「旧館」と呼ばれる旧い建物を利用しており、そのこともあって思い深く爽やかな高校生活の断章を見つめることができた。