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映画『ミッドナイト・イン・パリ』脚本・監督:ウッディ・アレン、2011年

主人公の脚本家の青年ギル・ペンダー(オーウェン・ウィルソン)は小説家になることを志しており、「1920年代のパリ」に憧れ、そして「雨の降るパリ」を愛してやまない。

そんな彼が、フィアンセのイネス(レイチェル・マクアダムス)を伴ってパリを訪問するが、一風変わった彼とフィアンセの間にはすきま風が吹き始め、細かなことでことごとく対立し、結局愛想を尽かされてしまう。

ひとり寂しくホテルへ向かう石畳の道を歩いていると、12時を知らせる鐘とともに時代めかしたクラシックカーが現れ、その乗客たちに彼は飲みにいかないかと誘われる。乗り込んで向かった先は実は、彼の憧れる1920年代のパリだった。

f:id:alpha_c:20120609223015j:image:leftそのパーティ会場では、ヘミングウェイフィッツジェラルドなどの作家が意見を闘わせていたり、ピカソやダリなどの画家、ストラヴィンスキーなどの作曲家も姿を見せる。


彼は、そうした若き大家たちと意見を交わしたり、自分の温めている小説の推敲をガートルード・スタインに依頼して高い評価を得たり、とますます1920年代のパリに思いを深めていき、毎夜のように12時を迎えて現れるクラシックカーに乗って訪問を重ねる。

f:id:alpha_c:20120609223022j:image:left彼は、そこでピカソの絵のモデルをつとめる女性アドリアナを愛してしまい、交流を深めたある日、今度はアドリアナが憧れる1880年代、ベル・エポックのパリへとタイムスリップしてしまう。


そこは、さらに優雅さを増したマキシム・ド・パリのサロンで、集う人々のなかには山高帽をかぶったロートレックもいる。アドリアナはこの時代に残りたいと切望するが、逆に彼は、元の世界に戻らないと疫病にかかるおそれがあるからと説得する。しかし、彼女はその説得には耳を貸さない。

f:id:alpha_c:20120609223023j:image:leftこの映画では、巧みにタイムスリップした時代を再現していたが、そこには本当に行ってみたいと思わせる気品や優雅さを備えていた。映画の主題としては「昔はよかった」という言葉を「本当にそうなのだろうか」ととらえ直すということだったかと思われるが、どちらかというと昔の時代を愛着を持って描いているように感じられた。