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ミュージカル『オペラ座の怪人』ロンドン・ロイヤル・アルバート・ホール

f:id:alpha_c:20111203213402j:image:w240:leftロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで25周年記念公演として上演されたこの作品が映画化された。正直なところこれまでミュージカルとは無縁だったけれど、一週間だけ地元の映画館で上映されるという貴重な情報を同僚から得て雨の寒い土曜日に訪れた。

作品は三幕構成、3時間近くに及ぶもので、パリのオペラ座を闇の世界から支配する「怪人」(ラミン・カリムルー)を主人公に、美しい女性歌手クリスティーヌ(シエラ・ボーゲス)に対する愛や、その醜い容貌のゆえに拒絶されつづけた社会への憎しみをテーマに舞台が展開される。

f:id:alpha_c:20111203213336j:image:w240:left字幕の助けもあって(基本的には英語、歌唱部分の一部はイタリア語)ストーリーも分かりやすく、一部単調な場面もあるものの、後半になるにつれ劇的な場面の連続で盛り上がりを見せた。クリスティーヌの独唱や、キャスト勢揃いの合唱(マスカレード)など、音楽的な見せ場にも事欠かない。ミュージカルというと、オペラに比べ自分にとっては軽いイメージがあったが、音楽、舞台装置、衣装などすべての要素において本格的なもので、「オペラ座」を舞台とした作品であるだけにクラシカルなものでもあった。

クライマックスでは、不遇に生まれ、そして悲しみと憎しみに生きた「怪人」がはじめて人の情愛に触れ自ら破滅していく場面が描かれ、ひときわ情感あふれる歌唱が悲劇性を高めていた。

f:id:alpha_c:20111203213332j:image:w240:leftなお、カーテンコールでは、作曲者(アンドリュー・ロイド=ウェバー)による謝辞が伝えられるとともに、スタッフや歴代のキャストが紹介され、かつてロンドン公演とブロードウェイ公演のオリジナルキャストとしてクリスティーヌ役を務めたサラ・ブライトマン(残念ながら力を感じられず)を囲んでかつての怪人役の男性歌手4名とラミン・カリムルーが改めてテーマ曲を艶のある声で見事に歌い上げ、観客の喝采をいつまでも浴び続けていた。

たしかにオペラと比べてこれは違う。しかし、劇場はじめ舞台の物理的な構成要素、物語の厚みや展開、そしてもちろん歌唱などあらゆる面でオペラの良質な面は受け継ぎつつ、音響や演出などにおける現代の技術は吟味して適用し、現代のわれわれにも受け入れられる質の高い舞台芸術を創造していると思われた。

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追記:

オーケストラピットが舞台の上部に配置された構成ははじめて見た。

また、通常であればオーケストラピットとなる場所に可動型のカメラが設置され、歌手たちを迫真の姿で映し出していた。

3時間に及ぶ映画であるため、通常は幕間に合わせて休憩時間を設けるものだが、これがないのは結構つらかった。