福祉ネットワーク シリーズ 動き出した自殺対策(2)「自治体の取り組みから」

12年連続で自殺者が三万人を超えている。特に三月は自殺者が多い。リスクが高いうつの早期発見のキャンペーンが展開されている。また、自殺者の時期や年代、職種などを調査した結果を対策に活かそうとしている。

自治体でも複数の部署が連携して取り組みを進めている。地域で働く保健師が最前線に立っている。専門性を活かし、一人ひとりに寄り添う支援が求められている。

足立区ではNPOの「ライフリンク」と提携して自殺対策に取り組んでいる。「雇用・生活・こころと法律の相談会」を開催している。日ごろ別々の部署で行われている取り組みを総合的に進めようとしている。各分野のプロフェッショナルが対応しようとしている。

自殺に至るときにはいくつもの要因が複雑に絡み合っている。とくに失業はその要因として大きい。足立区は失業者や年金生活者が多い。中小企業も多く経営者の自殺も多い。そこで足立区はワンストップサービスとして相談会を9回行い、その後のフォローは保健師が対応している。保健師は戸別の訪問が可能であり、相談のスキルを持っている。また、さまざまな窓口に相談者をつなげる役割もある。

相談に訪れる人は気力も失っている人が多い。そうした人をどのように支援につなげていくか。生活保護を打ち切られるのではないかと自殺を考えている人がいる。保健師生活保護担当部署に伝え、対応を図った。

内閣府参与 清水康之)今は、当事者がこれまで行ってきたことを保健師が行おうとしている。今後は、さまざまな支援主体が協力して保健師の負担を減らしていくことが必要。

(ジャーナリスト 斎藤貴男保健師を増やしていくべきだろうし、部署間の連携も必要。部署間の連携は、簡単なことではない。部署によって目的も異なる。

(斎藤)ここ10年ほどあまりにも社会が荒みすぎた。倒れる人は成長のコストという考え方が蔓延してしまった。しかし経済成長は生きるための手段に過ぎないということを再確認すべき。

自殺防止センターをぜひ活用して欲しい。ライフリンクでも窓口を公開している。

■コメント

足立区の取り組みは画期的なものと思われるが、最前線の保健師は参ってしまうほど大変ではないか。

しかし一方で、参っているのは当事者であり、力を失っているはずだ。相談会に訪れることができただけでも稀有なことなのではないか。

これを見るに、「弱い立場の者」への役所の対応のあり方を考えさせられる。福祉でも直接人に接する部門と制度に基づく事務処理部門は分けるべきではないか。制度はある意味人をモノのように、サービスや現物を給付することで回復可能ととらえている。しかし実際にいるのは生身の人間である。つまり制度は万能ではない。役所に置くのか役所外に求めるのかは別として、制度にこぼれた人をケアする仕組みが必要。