クローズアップ現代「遺族の声が司法を変えた~犯罪被害者・岡村勲さんの闘い~」

刑事裁判で三年前に被害者参加制度が設立された。この制度を作った岡村勲弁護士(81)は、自身14年前に自分の身代わりとなって妻が殺害された。そのときの裁判の経験から、いかに司法が被害者家族を無視して行われているかを痛感した。そして、制度の設立に奔走した。

犯人は株取引で損失をした者で、企業の証券関係業務を担当していた岡村さんを逆恨みして犯罪を起こした。

被害者家族は、証拠の書類をみることもできず、証言に対して反論することもできない。岡村さんは被害者を置き去りにする裁判を変えるべきだと新聞で訴え、賛同者が集まった。

被害者を柵の内側に入れ、被告人への質問や求刑ができるようにして欲しいと訴えが、司法関係者は裁判の秩序が乱れるとして懸念を表明した。岡村さんは55万人の署名を集めたが、国の審議会の構成員である裁判官、検察官、弁護士からは、正常に裁判が執行されないとのではないかと岡村さんへの異論が出された。

そして第6次の審議会では、検察官と協力して被害者が参加するという形を提案した。これにより岡村案への賛同が増え、第8回審議会では賛成15人、反対2人で可決された。

制度の導入から三年、この制度を活用して裁判に参加した被害者家族は1,400人を超えた。

(常盤大学理事長 諸澤英道)驚くほど裁判は変わった。法廷全体が被害者のことを考えながら進められるようになった。当初はこの制度をつくるのは難しいと考えられた。岡村さんは刑事裁判を多く経験していたため、制度設立ができたと思う。

岡村さんは、次に被害者に対する経済的補償を確立したいと考えている。被害者は経済活動ができなくなるとともに医療費がかさんで困っている。これらが自己負担となっており裁判で補償が確定しても支払われることがない。

国から被害者に対して税金を投入するのはおかしいのではないかという考え方がある。このため国からは見舞金、一時金しか出ない。欧米では国民一人当たり500円程度補償に充てられているが、日本では15円程度である。

■コメント

たしかに、犯罪被害者はある意味無力であり、主張できる場がなかった。今回の制度は、被害者の受けた痛みを中心におくものである。

求刑にまで参画できる、という点についてはこの番組では実態がよく分からなかった。