クローズアップ現代「中国 水ビジネスを狙え~50兆円市場争奪戦~」

中国では、経済成長とともに水不足が深刻化しており、上下水道で50兆円のビジネスが生まれると考えられている。

しかし、このビジネスにはフランスなどの水メジャー企業(スエズ社など)がすでに参画しており、日本企業は汚泥処理など全体の一部を担う形となっている。

日本政府も中国の水市場への参入を目指しており、これを担うさまざまな組織が立ち上げられているが、意思決定が遅かったり、技術を出したくないなどの思惑が働き、なかなか先に進んでいない。

そんな中、大都市ではなく農村部であれば十分戦えるのではないかと考えて参入しようとする日本企業がある。

遼寧省瀋陽で、合弁企業を立ち上げることとなった。この意思決定を二週間で行ったが、速い意思決定を行わないと欧米企業に奪われてしまうという焦燥もあった。しかし、社内では、合弁企業だと技術の流出があるのではないかという懸念もあった。

(元国連環境審議官 吉村和就)先行してビジネスを展開していかないと必ず負けてしまう。

(国谷)オールジャパン構想で40近いグループが作られたが、あまり成果がなかったようだが。

(吉村)トップが決断せず、減点主義で考えていたためだろう。稟議書を回している間に他国の企業が参入している。

自治体も水ビジネスに参入している。岐阜市は、汚泥から貴重な資源であるリンを取り出す技術をもっており、これをもって参入しようと考えている。中国では下水から発生する汚泥に頭を悩ませている。焼却するよう指導しているが、実際は埋め立てられており、深刻な環境問題に発展している。

岐阜市は年900件に及ぶ水道トラブルの対応に頭を悩ませている。トラブルの多くは老朽化による破裂である。40年の耐用年数を迎えて更新が必要となっている。その資金として毎年10億円が必要である。汚泥からリンを取り出す技術を売ることでこの原資にできるのではないかと考えている。

(吉村)メンテナンスを行う者は50歳を迎えている。数年するとノウハウとともにいなくなってしまう。

(吉村)日本では水道の漏水がきわめて少ない。ロンドンでは40~50%が漏れている。東京は3.1%である。以前第三セクターのほとんどが失敗した。これを教訓に、自治体と民間が手を結んで行うべきだろう。それは世界に対する貢献にもなる。