仕事学のすすめ 亀田信介 病院を変える突破力 <終> 第4回

今日は、亀田総合病院で取り組んでいる医療の質をあげるための組織改革を取り上げる。

亀田さんは国際的な認証を得るための取り組みを進めたり、チームで仕事を行う仕組みを作ったり、外国人患者を積極的に受け入れしたりしている。

亀田さんは院内感染などの危機管理を国際的な基準で行っている。そして世界で最難関といわれる日本初のJCI認証に挑んだ。この認証に関して職員がいつどんな質問を受けても大丈夫な体制作りを進めている。

血液など感染源となるものの対策は不可欠である。感染源となるゴミの分別を徹底し、手でゴミ箱のフタを開けることはない。

日本のスタンダードではなく世界のスタンダードを目指す。日本の中の出島のような病院になれればよいと考えている。JCIは3年に一度更新することになるが、1回目に指摘されたことをクリアしていないと落第してしまうことになる。質を上げるために自らハードルを上げる。

アメリカの医療現場で使われる、チーム内のコミュニケーションを円滑にするための手法(TeamSTEPPS)を使っている。重要な発見をした場合、最低二回は声に出して伝える。など、軍で利用されている手法である。

産科はさまざまな領域の複合的なチームを構成する。さまざまなリスクが考えられる現場であり、ここでもチームの結びつきが重要である。

外国人に安心して治療を受けてもらう体制も作っている。外国語ができるスタッフがついたり、医師が直接英語で話したりしている。亀田さんは将来的には外国人専用のフロアを作りたいとしている。

メディカルツーリズムのためにJCIを取得したわけではない。国際化を推進することにより病院が伸びていくという効果を期待している。飽くまでも中心となるのは地元の人々である。

亀田さんは、「もっとよい医療がきっとあるはずだ」という思いを持っている。その実現プロセスこそが自己実現だと考えている。理屈ではなくアニマルスピリッツで向上心をもってやっていきたいと考えている。