追跡!A to Z「消えた家主を追え」

東京都世田谷区は有数の高級住宅地だが、空き家が急増している。売れば2億円は下らない物件が放置されている。東京都心の空き家は十万戸でありこの10年で40%も増加した。ゴミの不法投棄や老朽化による倒壊、火事などの危険があり近所から苦情が出ている。消えた家主を追った。

空き家は管理されていたり住人がいたりする気配がない。不審者が暮らしていたりする。去年港区では13棟が焼失する火災が起きたが、これは空き家への放火によるものだった。また、ゴミの不法投棄により虫がわいたり異臭がしたりしている。

空き家の苦情が多い杉並区と世田谷区を調査したところ、住民が迷惑しており家主もいない物件が103軒もあった。

杉並区役所では、空き家に関する苦情が連日寄せられている。しかし、個人の私有財産である住宅には行政といえども立ち入ることができない。平成15年に杉並区は条例を定め、家主が適正に管理すべきことを明記している。ただし罰則規定はない。

住民の苦情は警察にも寄せられているが、事件性がない限り立ち入ることはできない。家主の行方が分からない以上、行政も警察も有効な手段を講じることができない。

では空き家の家主はどこにいるのか。離れて住む子どもが所有しているケースが46件、売買されたのが24件であった。それらの者は、遠隔地であったり、不動産価格が低いため売却しないなどの状況であった。また27件は家主がそのまま住んでいることになっていた。しかし、家主はいない。すでに亡くなっている。しかし登記が変更されることはない。

まさに地縁や血縁が薄れている状況が現れている。近所づきあいは下町でも薄れている。空き家の2階で白骨化した状態で発見された家主もいた。