福祉ネットワーク キラキラ40▽“人づきあい”クライシス(1)~大人の発達障害

ママ友との付き合い、さまざまな家庭のことを決めるにあたっての夫との関係、思春期を迎えた子どもとの関係に悩んでいる女性が多い。

こうしたコミュニケーションが難しい女性の原因として発達障害があることがわかってきた。周囲からはちょっと変わっていると見られてしまうが、あまり気にせず突破口を見出している人もいる。実態としては発達障害者支援センターにはここ数年で5倍の相談が寄せられている。

40代になってから発達障害があると分かったリカさん、2人の子どもを持っている。アスペルガー症候群と診断された。人付き合いをできるだけ避けて生きてきた。周りと話が合わない。うわさ話が嫌いで、そうした話をする奥さんの会話に入れない。子どもとは会話が弾む。子どももアスペルガー症候群と診断されているが、あっけらかんとしている。周りとコミュニケーションをとるときにはそれ用に表情や声を「作る」。

子どものときから、コミュニケーションや協力に関して周りから叱られ、しかしその理由がわからず自分はキョトンとしていた。高校は県下有数の進学校、そして薬剤師になろうと薬科大学に進んだが教官とコミュニケーションがとれず中退した。そして結婚して子どもができるが、PTAでの親同士の関係が築けず引きこもるようになった。夫に相談したが、分かってもらえずうつ病になり死にたいと思った。引きこもる日が6年続いた。

そのとき、精神科を受診してアスペルガー症候群と診断された。関連書を読んだところ、まさに自分がこれであることが分かり、自分でもこれが原因だったのだと分かりすっきりした。昔の謎が解けた。

(日本発達障害ネットワーク副代表 高山恵子)つらい時期があったけれどよく工夫して今があると思う。

大人の発達障害としてはアスペルガー症候群注意欠陥多動性障害(AD/HD)がよく見られる。

(高山)アスペルガー症候群は、他人の表情を読んだり雑談することが苦手、AD/HDはうっかりが多い。これをきっかけにうつ病やPTSDになったりする。学生のときは親がいてサポートしてくれるが、40代になると、PTAなどに参加しなければならないので大変。AD/HDは女性ホルモンが減ってくると症状が重くなることがある。

リカさんは、離婚後、ものをはっきり言う夫と再婚し、「空気を読む」ということがそれほど必要なくなり助かっている。そして元気になって外出をするようになり、周りの人々をよく観察してコミュニケーションのとり方を覚えて、「アスペルガーライフblog」を作っている。

「ちょっと変わっているけど、悪いわけではない、こんな人間がいてもいいのではないか」、と思うようにしている。定型発達者は「同質性の表現が大切」、「世間一般がそうだからという主張が多い」こんな分析をしている。

(高山)周りの理解がとても大切であると思う。