ミューズの微笑み「ホキ美術館」

千葉市にある「ホキ美術館」、日本で始めての写実主義の美術館である。細密画が、細長く宙に浮いたように見えるユニークな構造の建物に展示されている。

ここに展示されている野田さんの絵画、北海道のアトリエで描かれている。野田さんは日本人の美意識の底にある哀れみなどを排除して、存在そのものを描くことに注力している。

桐島ローランド)日本では絵画を平面的に描くことが行われてきた。こうした写実的・立体的な描き方はあまり行われてこなかった。

野田さんも教えた広島市立大学では、実際のモデルを描くということにこだわっている。見て、そしてそれを手で表現する。

絵の具を卵で溶いて描くテンペラ画、このルネサンスの様式で大野さんは細密画を描いている。

地下二階にはこの美術館のために描き下ろした大判の絵画「私の代表作」が並ぶ。帰りたそうにしているモデルの微妙な表情まで写実的に描いている。

イギリスに在住する画家が昔住んでいた大阪近郊の風景を思い出して描いたもの、これも徹底的に写実的に描かれている。