特報首都圏「“非正規のつながり”課題と可能性は?」

いま、非正規労働者がつながって事業を生み出そうとしている。

30代から40代の厳しい現状を「ミドルエイジ・クライシス」として特集してきたが、石田衣良氏のいう「つながりながらジリジリ進む」をキーワードに突破口を見出したい。

野菜の市を企画している非正規労働者のミドルエイジがいる。

48歳で生活保護を受けている青年が、この企画に参加している。20代で大学を中退しアルバイト生活、30代でアルコール中毒となってしまう、40代で福祉施設に働き口を見つけるが心の病を患ってしまい、現在に至っている。

閉店時間を迎えても野菜が売れないときもある。半額で売り歩きするがなかなか売れない。収入は二日で4,000円程度、もともと10人いた参加者は4人に減っている。

非正規雇用で介護の仕事をしている38歳の男性、投薬が必要な状況だが、仕事中にぎっくり腰を患ってしまった。そこで以前反貧困ネットワークの「たすけあいネット」に加入して100円ずつ出していたことを思い出した。そこで3万円もらうことができ、仕事に復帰することもできた。このつながりが経済的のみならず精神的にも支えになった。

反貧困ネットワークでは、「社会というのはお互いが助け合う場である」ということを思い起こさせるようにしたいと考えている。

内閣府参与 湯浅誠)まさにジリジリ進むということ、それは遅い歩みではあるが希望でもある。これまでは家族、地域、会社、がつながりの場であったが、こうした従来的なつながりが希薄になり、交流スペース、福祉作業所(居場所的なものから作業所的なものまで形態は多様)、社会的企業そして野菜市みたいなものがつながりを補完している。しかし従来的なつながりと新しいつながりの間には断絶がある。

結婚式のウェルカムボードを作るイラストレーターの青年(35)が、商品デザインの得意な女性、WEB制作の得意な男性とつながり仕事のネットワークを作ろうとしている。これに「つながり」のひとつの形である。

(湯浅)つながりを希望にする三か条がある。

1.茶飲み話をする場が必要

2.つながりで社会が強くなる

3.ハローワーク「住居・生活支援」へ(ぜひ相談に行ってほしい)