クローズアップ現代「笑って考える!?イグ・ノーベル賞」

イグ・ノーベル賞は1991年に創設された。おかしみがあってしかも深く考えさせる研究に対して授与されている。

今年、ノーベル物理学賞を受賞した科学者、ガイム教授は2000年には超伝導を利用したカエルの浮遊の研究でイグ・ノーベル賞を受賞している。

また、日本では金沢学院大学の広瀬教授は、ハトの糞が付いていない銅像の研究で受賞している。

中松教授は、食事と健康の関係を34年にもわたって研究し、健康は3日前の食事に左右されることを実証した。

サイエンスライター 竹内薫ノーベル賞イグ・ノーベル賞は知的好奇心という点で共通している。イグ・ノーベル賞は子どもの好奇心、ノーベル賞は大人の常識が加味されている。ガイム教授は、10%は自分の好奇心について研究し、90%は役に立つ研究を行う、といっている。大人になると、同僚の目を気にして、また研究費予算が付くかどうかを気にしてリミッターをかけてしまう。これにより好奇心は抑えられてしまう。

今年、日本人が自身二度目の受賞をした。公立はこだて未来大学の中垣俊之教授である。粘菌を利用して単細胞生物に知性の片鱗があるかどうかを研究している。迷路を利用して粘菌が最短経路でこれにたどり着けるかどうかという内容である。

脳や神経がないのでどうやって答えを出しているのか。管の長さと流れる養分によって身体を変化させているという性質が解を求めることにつながっていることに気が付いた。

また、関東地方の地図の東京の位置に粘菌をおき、周辺都市の部分に栄養をおくと現在の路線図に近い経路を作り出すことが分かった。

(竹内)このふるまいを研究すると交通網やカーナビにも利用できるのではないかと考えられる。また脳科学の新しいアプローチにもなるのではないか。中垣さんは生物学、数学などさまざまな学問を研究している。ルネサンス人のような発想のユニークさの背景にはこうしたさまざまな知識があるのではないか。科学者は童心に帰って研究を行ってほしい。リミッターをかけた常識的な研究ばかりでなく、ユニークさのある研究につながるのではないか。