クローズアップ現代「“内定が取れない”~新・就職氷河期~」

・来年卒業する大学生で就職を希望しながら内定が得られない学生が17万人、内定率は57.6%にとどまる見込みである。

・企業の採用は、かつての大量一括採用から、少数厳選採用に変わりつつある。現在は新たな就職氷河期ともいわれる。

・企業では、国際競争で戦える即戦力を求めており、学生の選別が大変厳しい状況にある。

・100社に応募し、すべてについて不採用通知を受け取った女子学生もいた。この学生は授業の合間に就職サイトをチェックして、新たな就職試験が掲示されたらすぐに登録できるようにしている。

・就職に強いと言われる早稲田大学でもなかなか就職内定を得られず、留年して来年にかける学生も多い。リーマンショック前の2008年組がねたましいという。

・一方、国際的な企業では、少数厳選採用で40%も採用を減らしている。グローバルに活躍できる人材でなければ採用しない。日本人ではなく外国人の採用などを進めている。

・留学を希望していた学生も、大学3年生から始まる就職活動に乗り遅れてはいけないため夢を諦めるなどしている。

・(社会部 木村)学生たちは、なぜ自分が採用されないのかわからないという疑問を持っている。まじめな学生でも採用されない。今年3月に大学を卒業した54万1000人の中で、パート・アルバイトや未就職が10万人、留年が7万人に達している。来年はこうした学生も就職戦線に参入して激戦が予想される。

・(慶応義塾大学教授 樋口美雄)日本企業は、人員を減らす場合、現在いる社員の解雇ができないため採用減で対処する傾向にある。そして企業は、採用人数を削減するのみならず質の高い人材でなければ採用しないというスタンスである。

・(森本)何が学生の質の高さなのか。

・(樋口)潜在能力、資質、性格などで質を判断されているのだろう。今後もこうした状況は続き、日本社会にも閉塞感が漂ってくるだろう。かつて戦後最長の好景気といわれた期間でも雇用は回復しなかった。今後景気が回復しても、雇用数がそれほど増えることはないだろう。

・学生は大手に入りたがる。中小企業では、募集より応募が少ない状態である。中小企業ではさまざまな業務を体験でき、また大きな仕事にも責任を持たされてチャレンジできる。29歳で売上げを7億円上げ、年収が500万円にも達している。

・(中小企業社長)負けない技術を持って前に進んでいる中小企業をぜひ選んでほしい。

・(樋口)就職活動は、企業は毎年だが、学生については一回きりである。情報量において格差がある。また、学生も「就職」をするのでなく「就社」を目指すようになってしまっている。そうなると安定しているところを選びがちである。しかし、実際の就職活動を通じて学生も成長する。こうした努力が報われる社会にならないといけないと思う。