特別番組「無縁社会(1)」

・ 誰にも知られず引き取り手もいない無縁死が大きな社会問題となっている。崩壊する人間関係の絆の再生を考える。

放送大学教授 宮本みち子

無縁社会現代社会を写す鏡である。なぜ無縁社会が問題であるのか。

1.社会的に孤立する人が増加している

2.孤立と貧困がセットになっていることが多い

3.無縁には複雑な原因があり、このため無縁から抜け出すのが難しい

4.家族・地域の変容と弱体化が原因となっている

5.近代型の行政組織が新しい問題に対応できない

・ 100歳高齢者の行方不明問題、これはまさしく無縁社会の一つの現象である。この背後には行旅死亡人の増加などが関連している。

・ 行政はセクションごとの支援を行っており、相互に連絡を取り合っていない。

・ 長寿の高齢者を抱えることは大変なことである。その支援を家族に頼りきってしまっている。家族の力に期待すること自体に無理がある。

・ 格差が拡大したこの10~20年の間に絆が断ち切れてしまった人が多く現れた。安定した仕事、住まいなどがなくなってしまった。そうした人々は、条件に恵まれた人々からは冷淡に扱われる。

○ 経済評論家 内橋克人

森繁久弥は96歳で亡くなったが、その弟は天寿を全うしたと言っている。しかし天寿全うを喜べないのが現在の社会である。

・ 絆という言葉が大流行である。しかし、自己犠牲により絆を保つことが本当の絆だろうか?

・ 社会の統合をもう一度再生しようとすれば、古い時代に戻ればよいのではないかという短絡的な考え方につながりかねない。

・ 絆という言葉が流行していることに抵抗感を感じる。

・ 役所の人は先頭に立って無縁社会の解決に取り組んで欲しい。