日本の、これから「どうする?無縁社会」

・ 無縁死は一年に32,000人を数えるようになった。また、高齢者の孤独死はここ数年で5倍となっている。都市再生機構の団地では一年に500件の孤独死が起きている。子どもがいても長い間会っていない、自分が死んでも遺骨さえ引き取ってもらえるかどうか分からないという人が多い。

・ 若い世代でも、仕事がなく話す相手もなく非常な不安を抱えている。無縁社会は広がり続けている。

・ どうしたら無縁社会を変えられるのか。徹底的に討論する。

・ 同居している家族とも交流がない。精神的に孤立している。

・ (女性)お父さんは夜遅く帰ってきて顔を見ていない。突然大事にしろといってもできない。

・ (小宮山厚生労働副大臣)家族がこわれたのでなく変化しているのではないか。みんなの知恵、共助でなんとか乗り切れないか。

・ (堀田NPO代表)親子が依存し過ぎないことも必要ではないか。

・ (批評家宇野)人々が密接に関わっていた時代は、ある意味不自由な時代でもあったのではないか。

・ 現在30代前半の未婚率は男性50%、女性30%となっている。2030年には700万人の高齢者が一人暮らしとなるだろう。

・ (女性)結婚する前に両親が死んでしまった。いずれは自分も孤独死するのではないかと考えている。

・ (湯浅内閣府参与)行政は、自分の管轄外についてはよく分かっておらず、困った人が窓口に来ても支援はそこで止まってしまう。「第四の縁」としてパーソナルサポーターが必要ではないか。今は関西地区でモデル事業として行っているがこれを恒久的な制度にすべき。

・ (湯浅)日本の福祉は申請主義であり、このシステムだと自分から支援を依頼することは難しい。官民あげた面的なサポートが重要。

・ (淑徳大学結城准教授)高齢者について、社会福祉協議会など既存のサポート体制に加え、「おせっかいの復権」が必要であると考える。

パトライトを付けたり、地域マップを作って助け合いをする取り組みがなされている。

・ (高齢男性)団地であればそうした助け合いもできるが、普通の一戸建ての地域だと難しいのでは。

・ (男性)助け合いというが、朝からパチンコや酒を飲んでいる人を同じ人間として扱っていいのか。

・ (宇野)おせっかいはいい。ただし、プライベートなところまで踏み入らないよう気をつけるべき。

・ (堀田)おせっかいについては相手の個性とプライバシーを守ることが大切。対等の関係でなければならない。

・ (作家吉永)孤独死はそんなにいけないことなのか。いろいろな苦労をして諸々の縁を切って死にたい人だっているだろう。孤独死の自由はあるだろう。

・ (介護施設副支配人(スウェーデン人)グスタフ)認知症は迷惑という感覚がある。それはおかしい。

・ (小宮山)知恵を出しておせっかいを作っていきたい。

・ (民生委員に発見された高齢女性)もう死にたいと考えていたが、今は助かって生きていて良かったと考える。今考えると、自分の人生は矛盾ばかりだったような気がする。

・ (明治学院大学社会学部教授河合)公的ヘルパーが必要である。民間ヘルパーは介護保険の対象者のみである。認定を受けていない8割の高齢者は対象外である。生活意欲を失っている人に対して支援できるヘルパーを設置したい。400億円あればなんとかなるのではないか。

・ (グスタフ)早期発見・早期診断ということにつながるので、このコストは過大ではないのではないか。

・ (慶応大学経済学部教授金子)以前は援護を必要とする人に対し措置入所等を行っていたが、申請による契約となった。これで本来援護されなければならないのに抜け落ちている人もいる。生命に関わることでありやはり福祉専門職を充実させることが必要ではないか。

・ 人の世話にはなりたくない、という人が極めて多い。そうした人は介護保険を利用しないままになっている。

・ 現在単身世帯と夫婦と子世帯はほぼ同じ率だが、2030年には単身世帯37.4%、夫婦と子世帯は21.9%となると考えられている。

・ (高齢女性)倒れたときに老人ホームで救ってもらえないか政府で検討して欲しい。

・ (男性)心の部分の通い合いを実現したい。

・ (女性)窓口がありすぎ、どこに相談すればいいか分からない。

・ (吉永)これまでは地縁・血縁に頼り切っていた。そうしたものがなくなり、これを違う形で作り直すのは大変なことである。無縁であっても安心できる社会を作るべきではないか。